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ポテチの好きな映画についてと感想

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¿Qué He Hecho YO Para Merecer Esto!! 1984

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ペドロ・アルモドバル監督作品
「グロリアの憂鬱 〜セックスとドラッグと殺人」

マドリードの巨大な団地に住む平凡な主婦・グロリア。
タクシー運転手をしている夫・アントニオと手のかかる2人の息子、
そして義母と暮らしている彼女は、
剣道道場にて掃除婦の仕事ををしながら、家計を支えている。
しかし、生活は苦しくなるばかりで、
次男の歯の矯正のためのお金もない。
夫は彼女の奮闘に理解を示さず暴君の様に振る舞っている毎日。
何の楽しみも無い鬱屈した日常に飽き飽きしていた彼女は、

ある日、仕事先で名も知らぬ男と情事にいたる。
しかし、不倫関係を続ける勇気もなく、
結局は家事に追われるいつもの日常に戻っていくのだった。

一方、アントニオはたまたま客として乗せた老作家から
”ある仕事” の誘いを受ける。
貧しい暮らしから抜け出せる一攫千金のチャンスだったが、
仕事の内容が余りにも胡散臭いもので二の足を踏む。
そんなある日、
ひょんなことからグロリアはこの老作家の家で掃除婦の仕事をすることに。
それからいくつかの展開があるものの、
結局、グロリアは変わらずにそこに居るだけ。

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この物語はグロリアを中心に淡々とした日常風景の様に進んでいくのだけど、
その進み方が、この監督ならではの面白い視点でもって、
微妙に観る側の現実感覚とズレて不思議な感じに陥って、
気付くととんでもないことに。

冒頭の剣道道場のシャワー室での情事の場面から、早々とズレていって、
長男は中学生なのにドラックを売っては、お金を貯めているし、
ゲイであるショタコンにはたまらない感じの可愛い次男は
歯の矯正に出かけた歯科医にて、
あまりの貧乏故にグロリアによって、
ロリコン・ゲイの歯科医の養子にされてしまう。
隣に住むクリスタルはグロリアの唯一の親友でしたが、
娼婦で日々男の客との相手で忙しく相手にならない。
階上の主婦の友人は話すと自分のことばかりで、
こちらも話にならないばかりか、
超能力者である娘を虐待しているといった具合。
結局、精神安定剤とはいえ、ドラッグ中毒に。

そして事件が起こります。

普通の様で普通ではない状況に身を置いて共に流れる登場人物の中で、
必死に自分自身を保とうとするグロリアなのですが、
保とうとして、様々に努力したり、
様々に現実に働きかけたりもするのだけど、
そうすることで余計に現実からズレていってしまって、
時には戸惑い、時には開き直りつつ、
それに耐えてしまうものだから、最後はドカーン! ということで、
誰しもこの状況じゃあ、そうなるなー。彼女は本当に良くやってるよって
感じると同時に、
振り返ってみると、現実である日常においての私も
こんな風になっているところがあるよなーと思えることが
甦ってきたりするのですが、
だからといってどうしようもないことなんですけど、
現実に生きていくってこういうことなんでしょうね。

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グロリアは夫を撲殺するも、なんだかんだで罪を免れた後、
長男と義母は、この団地から脱出するように田舎に向かうのですが、
グロリアは歯科医の元から母親のために戻った次男と共に、
この団地で暮らし続けていくで幕が閉じる最後の場面。
この家族が分裂する終わり方や、
結局、グロリアは団地に残るということに
何か意味がありそうに感じてしまうのですけど、
たぶん、ないのでしょうね。

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それにしてもグロリアに扮した
カルメン・マウラという女優の存在はいつも大きく感じます。
大したことでないことを大それたことの様に感じで、見入ってしまう。
女の性というものを体現する様な演技がもう素晴らしいのなんの!
私が凄い好きな女優の1人です。


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Los Abrazos Rotos 2010

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ペドロ・アルモドバル監督作品「抱擁のかけら」について

2008年、マドリード。
映画脚本家のハリー・ケインはかつて映画監督だったが、
14年前のある事件をきっかけに視力を失った。
それから本名の「マテオ・ブランコ」から名前を変えて生きている。
事情を知るエージェントのジュディットと彼女の息子・ディエゴが、
ハリーの生活や仕事を支えられながら、
不自由なく仕事に、日々に暮らしを続けていた。
しかし、ある新聞記事により、
彼の押し込めていた記憶と愛が追いかけてくる。

ある日、ライ・Xという男が自分の監督作の脚本をハリーに依頼する。
内容が「父の記憶に復讐する息子の物語」と聞き、
ハリーは自分向きではないと断る。
しかしその時、ハリーはその男が
実業家・エルネストの息子であることを思い出していた。
それを見守る母・ジュディエットの不安げな様子に疑問を持つディエゴ。
ハリーの過去に興味を持つディエゴに求められ、
マテオ時代のことを話し始める。

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14年前の1994年、
新進監督だったマテオはコメディ映画を撮ろうとしていた。
エルネストの愛人だったレナは一度諦めた女優になる夢を追いかけるため、
オーディションに申し込む。
マテオは彼女を一目見るなり心を奪われ、
ほとんど演技もできない素人であるにもかかわらず、
映画の主役に抜擢する。

撮影に入り、ぎこちなくもどんどん輝きを増すレナ。
しだいにレナもマテオの才能に惹かれ、2人は恋に落ち、
愛し合うことに。
映画へ出資しプロデューサーとなったエルネストは、
息子のエルネストJr.をメイキングの撮影という建前で撮影現場に送り込むが、
実際はレナに執着し、非常に嫉妬深い故の監視が目的だった。
しかしマテオとレナの激しい愛は、もはや隠すことができなかった。

暴力と脅迫にまで進んでいくエルネストから逃れるため、
撮影を終えたマテオとレナは、カナリア諸島のランサロテ島へ旅立つ。

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幸せなひと時を味わう2人。

その頃、マドリードでは、
マテオが製作を中断したはずの映画が完成したという広告や、
プレミア上映での酷評記事が出ていた。
マテオが状況を調べるため、マドリードに戻ろうとした前日、
マテオとレナを引き裂く交通事故が起こる。
2人が滞在した部屋のゴミ箱には、
破られた抱き合う2人の写真が大量に捨ててあった。

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14年後の2008年、ハリーはライ・Xを訪ね、
事故の夜のマテオとレナを撮影したフィルムを受け取る。
それらを回想し、さらにはジュディエットの告白により、
事の詳細が明かされる。
一度は復讐を考えるハリー。
しかし、レナ出演の映画「謎の鞄と女たち」のネガを再編集することで、
すべてを清算することに。
それは、関わった人々すべての想いをこめた人生の再編集でもあり、
レナへの鎮魂歌でもあった。


この監督の作品としては
意外とあっさりした展開の少しサスペンス味のあるメロドラマ。
しかし、それを重く趣きある感じにしているのは、
監督の演出力と俳優陣の上手さだと思う。
特にレナ扮するぺネロぺ・クルスの
美しくも罪深い存在感は素晴らしすぎるくらい。
その輝きに対してジュディエット扮するブランカ・ポルティージョの存在。
ずっと内に秘めた女の静かな演技はちょうど対になる濃度の濃い影の様。

その点、男優陣は控えめな感じで、
またそれが好かったりするわけなんですけど、
自分としては主人公であるハリーはもっと絶倫で好き者、
しかし憎めない、
性的な魅力満々な感じだったらもっと良かったな〜と。

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例えば「Punisher: War Zone」のレイ・スティーヴンソン(上の画像左)、
もしくは「No Country for Old Men」の
ハビエル・バルデム(上の画像右)とか。
そういえば、ハビエルさんはぺネロぺ・クルスの旦那さんでしたね。

La Flor De Mi Secreto 1995

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ペドロ・アルモドバル監督作品「私の秘密の花」について

"アマンダ・グリス" というペンネームでロマンス小説を書いては
成功している中年の美しい女性・レオ。
実は彼女が熱愛するハンサムな夫・パコには知らない秘密だった。
軍人のパコは最近何かと留守がちで、レオの寂しさと不安は募るばかり。

ある日、彼女はパコが買ってくれたブーツを履いて
タイプライターに向かっていた時、
どうしてもブーツが脱げなくなり、パニックに陥る。
そう、これはパコにしか脱がせられない。
レオは親友の心理カウンセラー・ベティに助けを求める。
取り乱した彼女を見かねたベティは、気分を変えさせようと、
ある新聞社の知人を紹介する。

緊張の面持ちでエル・パイス紙の編集者・アンヘルを訪ねるが、
彼はレオにひと目惚れ。
ロマンス小説家 "アマンダ・グリス" の大ファンである彼は、
さっそくそのアマンダについての文芸批評をレオに依頼する。
正体を隠したまま、
別のペンネームで自らアマンダを否定する記事を書くレオ。
それはアンヘルは唸らせる出来ばえだったが、
一方で、アマンダとしての新作が不調で、
出版者から契約違反だと一喝された。

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ある日、ようやく休暇が取れたパコが帰宅した。
甘い愛の時を期待したレオはじらされたあげく、
2時間しか家にいられないと言われて逆上。
そしてパコは決定的な別れの言葉を口にして、出ていってしまう。

絶望して睡眠薬をあおったレオは、
留守番電話に話す母・ハシンタの声でこの世に引き戻された。

それから朦朧として街をさまよい、偶然、アンヘルに助けられる。
目覚めた時は彼のベッドの上で、何も覚えていないレオに、
彼は「君の秘密の花を開かせた」と嬉しそうにささやく。
家に戻るとベティが心配して待っていた。
そして衝撃告白。何と、彼女はパコの愛人だったとのこと。
でも、昨夜、レオのために彼と別れたとベティは告白。
親友の裏切りに呆然としていたその時、また母から電話。
夫に先立たれた母は、
レオの妹・ロサの家に身を寄せていたが都会の生活になじめず、
もう我慢できないから故郷の村に帰ると言う。
そこで自分を取り戻すべく、レオは一緒に行くことにした。

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故郷の村の家に落ちついた母は、
傷心のレオに “鈴なし牛" の話をして慰める。
夫を亡くした女は、故郷に帰ってお祈りをしないと
鈴なしの迷い牛の様に永遠と彷徨うことになると。
今のレオはまさに迷い牛。

ある日、のどかな村での生活で癒されたレオに出版社から電話が入る。
今度の2作は素晴らしいと絶賛されるも、レオには書いた覚えはない。
実はアマンダの秘密を知ったアンヘルがこっそり代作したものだった。
驚きながらも彼の計らいに感激するレオ。

マドリッドに戻ったレオはアンヘルと、
フラメンコの名手であるメイドのブランカと
その息子・アントニオの公演に行った。
レオはそろそろ現実に立ち向かうため、パコとの離婚を決意。
そしてアンヘルの部屋を訪れて、
ワインを飲みながら甘いキスをした。

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誰しもが落ち入ることのある、過ぎ行く中での希望の無い日々。
しかし、それでも、人生には希望が見えるという、
アルモドバルらしい人生賛歌になってる内容。
その暖かすぎる最後のアンヘルとの素敵な場面には
思わずほろっとさせられます。

そうなる前のメイドの息子・アントニオへのレノの会話。
「人生は不思議ね。苛酷で矛盾してて意外で、時にとても公平で。
....ありがとう。暗い日々に意味を与えてくれて」

喜劇の様で悲劇を描く彼の独特な毒を残しつつ、
前向きに生きていくことによって、
高らかに人生を讃えられていく方向に変わっていく展開が
とても心に響いてくる。
数ある彼の傑作の中でも、かなり好きな映画です。

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彼の作品で度々登場する俳優陣はいつもながらにして素晴らしく、
中でも現代のスペインを代表するフラメンコの
"若き貴公子" ことホアキン・コルテスが出演し、
やはりフラメンコの名手のマヌエラ・バルガスとの
見事な踊りを披露しているのがもう、
溜め息ものであります。

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