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ポテチの好きな映画についてと感想

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Inland Empire 2006

http://file.satyricon.ni-moe.com/Inland-Empire1.jpghttp://file.satyricon.ni-moe.com/Inland-Empire2.jpg

デビッド・リンチ監督作品「インランド・エンパイア」について

ハリウッド女優のニッキー・グレースは、
街の実力者の夫と豪邸で暮らしている。
ある日、ニッキーは「暗い明日の空の上で」という
映画の主演に抜擢されることに。
キングスリー監督ともう1人の主役であるデヴォン・バークと共に
製作に意欲を燃やすニッキー。

しかし、この映画「暗い明日の空の上で」。
実は曰く付きのポーランド民話を元にした
映画「47」のリメイク作品で、この映画は主演の2人が撮影中に殺され、
未完になったという企画であった。
それでも女優の再起を狙うニッキーは製作を進めていくのだが、
精力的にその役にのめり込めばのめり込むほど、
この脚本に込められていた呪いの様な「ファントム」を呼び起こし、
その作用の働きによって、
彼女の中で現実と虚構の境界が曖昧になっていくことに。

http://file.satyricon.ni-moe.com/Inland-Empire3.jpg

リメイク版映画の世界での共演者との不倫。
時折、垣間見える3人のウサギ人間たちが居る50年代風の部屋。
オリジナル版映画「47」での世界と、
その関係者が居る寂れた雰囲気のポーランドの夜の街。
その世界をモニターで見つめる
呪いの世界に閉じ込められたロスト・ガールたち。
ニッキーの追求を阻み、
この「内なる帝国」に捕らえようとする「ファントム」、
そして、その作用を阻止するべく密かに動き始める関係者たちの想い。
その幾つかの世界での事情が次第に入り混じり合い、
何が真実で何が偽りの妄想なのか。
そんな悪夢の様な連続に翻弄されつつも、突き進んでいくニッキー。
やがて現実での映画が撮り終えた直後、
「ファントム」と直接対峙することに....

http://file.satyricon.ni-moe.com/Inland-Empire4.jpg

ここからは友人と話した結果、
この物語における自分なりの解釈なのですが、
ある「不倫」という不貞行為をテーマにしたポーランド民話に対して、
それを好しとしない様々な人々の想いが凝り固まって形成された悪意の塊。
やがてそれが独り歩きして「ファントム」という悪の象徴となり、
オリジナル版「47」のヒロイン・スーザンの夫をサーカス団に追いやり、
彼女を隣人のクリンプという男と不倫をさせ、
帰ってきた夫に殺させたり、
オリジナル版のヒロインを演じた女優に不倫をけしかけて殺したりと、
触る人たち全てに取り憑き、殺害、
そしてそのモノが支配する「内なる帝国」に閉じ込めてきました。

http://file.satyricon.ni-moe.com/Inland-Empire5.jpg

再び映画のリメイク化によって、
この支配がままならずにして破壊される可能性を感じ、
同時に巨大化するべく我策して表の世界に降臨しようとする「ファントム」。
リメイク版のヒロインに抜擢されたニッキーを手始めに、
相手役のデヴォンと不倫させて悪の道に陥れて取り憑こうとするのですが、
彼女はなかなか潔く堕ちないし、
むしろ、挑む様に映画の役作りに没頭し突き進んできます。
それが殺されても今だ囚われている人たちに希望を与えることとなり、
「ファントム」の力を恐れつつも、
降霊会の年寄り達やロスト・ガールたちを始めとする
各世界の囚人たちがウサギ人間の世界の部屋を通じてコンタクトし、
少しずつニッキーに助言や力を与え、先に進ませます。
それでも「ファントム」の力は強大で、
リメイク版の不倫相手・ビリーの妻に殺しを命じたり、
幾つもの世界をより複雑に歪ませたりと、
かなり翻弄させて彼女をボロボロにするのですが、
見事、リメイク版「暗い明日の空の上で」を最後まで演じ切ります。

http://file.satyricon.ni-moe.com/Inland-Empire6.jpg

そして、降霊会の年寄りからスーザンの夫に託された拳銃を彼女が引き継ぎ、
ロスト・ガールたちの存在を理解して、
「ファントム」に挑みます。

彼女が何発も撃ち抜いたはずの「ファントム」は倒れずに、
ニッキー自身に変身します。
それで一瞬怯んでしまうものの、意を決して、
彼女自身の邪な欲望にシンクロしたそれを見事に撃ち抜いて消滅させます。
すると今まで開くことのなかった牢獄の扉が開き、
モニターの映像を泣きながら観ていたスーザンの部屋に彼女が現れ、
2人は抱擁するも、すぐに生きているニッキーは消えてしまいます。

スーザンはその後に部屋から出ると、自宅に通じ、
そこに彼女の夫と少年が待っていて、
その少年は不倫で出来た子供なのでしょうが、
きっと許されたのでしょう。
優しく幸せそうに抱き合います。
それを察した囚われていた者たちが外に逃げ出しはじめ、光の中へ、
すなわち、成仏に至るのです。

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最後のエンドロール。
初めの場面での近所に引っ越して挨拶にきた女性の言葉。
彼女は扉をくぐって分身をつくり出した少年の様に、分裂し、「悪魔」すなわち、
邪まな方向へ走ってしまう自分と呪いを解放しようとする自分とに分かれ、
それから市場を抜ける少女の様に、裏道を通って呪いの解放を成就させ、
現実へ戻って来れた。
その清楚で静かに長椅子に腰掛けている姿の神々しいことといったら! 
その成功に、彼女が裏道を通って辿り着いた彼女自身の「内なる宮殿」にて、
呪いの中で苦しみ、解放された亡霊たちが囲って楽しく踊りまくり、
祝福している場面は涙が出てくるほど感動します。

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この映画の面白さは、
デビッド・リンチ監督が仕掛けた複雑に絡みまくった悪夢を
深読みしまくって、自分なりに暴いていくことだろうと思います。
時間がある時にじっくり、この悪夢を体感してほしいです。
他の映画の様にただ観ているだけだと、
なんだこれは!? という陳腐な結果に堕ち入るという、
ストレス堪りまくりの散々な結果となるのですが、
理解した瞬間の爽快さはもう格別。
その一言に尽きます。

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Mulholland Dr. 2001

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デビッド・リンチ監督作品「マルホランド・ドライブ」について

ブルネットの美女を乗せて、マルホランド・ドライブを走り抜ける車。
車は突然止まり、同乗していた男が彼女に銃を突きつける。
その瞬間、後方から暴走してきた2台の車が彼女を乗せた車に激突をする。
軽傷を負いながらも、彼女は車から這い出し、
ハリウッドの街へと足を進めていく。
翌朝、彼女は、あるベテラン女優が住むアパートに忍び込むが、
そこにベテラン女優を叔母に持つベティがやってくる。
ベティは、記憶喪失となったその美女を助けようとするのだが.....

この映画には多くの謎が隠されていて、
何度か観て少しずつ霞が晴れてくると、
ある女の深い悲しみが待ち受けている。

地元のジルバ大会で優勝したダイアンの華々しい幕開け。
喜んで観ている年老いた両親とこれから現実離れを示唆するバックのうす紫色。
殺害依頼をしたことに対する罪悪感から生み出された間抜けな殺し屋。
キャスティングに垣間見られる現実の映画関係者たち。
妄想者に脅威的存在「ブルーボックス」を持つ裏手のホームレス。
映画のスポンサーである妙な組織のボスである小人。

ああ、できることなら私が殺した人を甦らせて、
自分の理想の恋人に変身させたい。
それから彼女を自分に近づけたい。
「自己愛」に勝る愛はない、というとこか。

妄想世界から現実世界に戻る機能を持った「ブルーボックス」。
成就とともに全てが消える。
恋人に裏切られ、女優志望から娼婦まで堕ちてしまって
さらに後悔と罪悪感の念が放たれて自滅した人生だったけど、
せめてささやかに、この夢で終わりにしましょう。

http://file.satyricon.ni-moe.com/Mulholland_Dr2.jpg

でもこれで終わらないのが、いかにもデビッド・リンチ監督の作品。
呆気なく振って肉体でものをいわす元恋人。
独身で元恋人にメロメロな映画監督。
カーボーイのポン引き。クールにこなす殺し屋。
厳しい彼女の現実をまざまざとみせつけて、追い込まれたのち、自殺。
惨たらしいけど単なる自殺死体に更なる重みを、
でもある意味救われたのかも。

あるところで私が凄い納得したこの物語の詳しい解釈がありました。
「つづきはこちら」をクリックすると読めます。長文です〜


Eraserhead1977

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デビッド・リンチ監督作品「イレイザーヘッド」について

舞台はフィラデルフィアの工業地帯。
モジャモジャ頭が特徴の印刷工ヘンリー・スペンサーは、
着古したスーツをいつも着て異様な歩き方をする青年である。

ある日、ヘンリーは付き合っている女性・メアリーXから
奇妙な赤ん坊を出産したことを告白される。
ヘンリーは彼女の家族の家に食事に招待されるが、
出されたチキンの丸焼きが突然ガタガタと手足をばたつかせてもがき始める。
ヘンリーはどうしたらいいのかわからず、
とりあえずナイフでチキンの腹を切るとドロドロと血が溢れ出す。
彼女との結婚を決意する。

その赤ん坊は異様に小さく奇形であったが、ヘンリーは驚く様子もない。
こうしてヘンリーとメアリーX、そして赤ん坊の新婚生活が始まるが、
赤ん坊は絶えず甲高い泣き声でピーピーと泣き、
その異様な声に悩まされ、ノイローゼになったメアリーXは、
いきなりヘンリーの寝ているベッドのパイプ部分をつかむと
ガタガタと揺さぶって、どこかへ去ってしまう。
薄暗いアパートに残されたヘンリーは次第に精神に破綻をきたしていく。

ある日、ヘンリーは部屋の備え付けのラジエーターを
なんとなく覗きこんでみる。
するとそこは、なにかの舞台の様なものが見えた。
のんきなピアノの音と共に、舞台の上に踊り子が現れる。
しかし、その踊り子の両方の頬には、大きな瘤のようなできもので
腫れあがっていた。
頬に瘤をぶらさげた踊り子は天使のような声で歌を歌う。
歌っていると天井からなにかがボタボタと落ちてくる。
床に落ちたそれは、精子かなにかのような形をしたグロテスクなもので、
どうやら生きているらしくモゾモゾと動いている。
瘤の踊り子は、なにやらいたずらでもする様に微笑みながら、
床に落ちた不気味な生き物を踏み殺していく。

ヘンリーの首がいきなり転がり落ち、道路にゴロゴロと転がる。
子供がやってきてその首を拾い、薄汚い工場に持っていく。
工場の主はその首をなにかの機械に入れると、
機械はヘンリーの首を加工して消しゴム(イレイザー)を作る。
工場主が消しゴムで紙に書かれた文字を消し、
消しゴムのカスをばっと手で払うと、まるで雪のように
消しゴムのカスが舞い落ちる暗闇の中に、再び首と胴がつながった
ヘンリーが復活する。

真夜中、ギャアギャア泣きつづける奇形の赤ん坊の腹にハサミを突き刺す。
ハサミの刺さった赤ん坊の腹からなにやら白いヘドロのようなものが溢れ出す。
赤ん坊の首がろくろっくびのように伸び、
しかも首の数がいくつにも増えヘンリーに襲いかかってくる。
そして....ヘンリーはいつの間にか、
あのラジエーターの中にあった舞台の上に立っていた。
傍らには瘤の踊り子が立ち、ヘンリーの肩に手を回す。
周囲にはなにやら機械のうなりの様な轟音が鳴り響く。
轟音は次第に大きくなっていく。
踊り子はヘンリーにキスをする。
轟音はもはや耳をふさぐばかりに大きくなり、
これ以上耐えられないと言うぐらいになった瞬間、
いきなり、ブツリと、映像が消え映画は終了する。


http://file.satyricon.ni-moe.com/eraserhead2.jpg

もはやこんな悪夢としかいいようのない内容を説明するのは、
私には無理です。
これはきっとデビッド・リンチ監督の頭に浮かんだ悪夢を
映像化したものだというしかない。
説明は一切不能。
ただ、奇形の胎児、踏み潰される精子などといったイメージからは、
なにか「出産」、あるいは「誕生」に対する
恐怖やトラウマを感じることが出来ます。
「生命」そのものを不安、もしくは恐怖していたのではないでしょうか?

その一方で生命を持たない機械、工場などに安心している様に感じられます。
この映画には工場の場面が多く、
また音楽の代わりに工場から発せられるノイズが全編を覆い尽くしています。
しかし、この映画を観る者にとっては、終始言いようの無い不安感と
グロテスクな映像による不快感ばかり。
なんだかこの映画自体、精神を病んでいるかの様です。
なのになぜか気が咎める反面、手を出してしまう。
また観終わると、
やはりこの映画は気味が悪く、異常だったと後悔することに。
しかし、そんな異常な映像を見ることが、
なぜか快感にもなっている気がします。
....この映画は、危険な薬物に似ている。

好きとか嫌いとか関係ない。
ただ、観る者の精神を確実に蝕むにもかかわらず、
服用せずにはいられない。
そんな麻薬の様な映画であります。



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