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ポテチの好きな映画についてと感想

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Bent 1997

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/e5b21aa450b596bc2d2c1b78a13c4a4f/1279804603

ショーン・マサイアス監督作品「ベント 〜墜ちた饗宴」について

ナチス時代のベルリン。
自堕落で勝手気ままなゲイライフを送っていたマックス。
ある金髪の美青年将校と出会い、甘い一晩を過ごすが、
彼はヒットラーによって粛清されたレーム一派(同性愛者)の関係者で、
翌朝、ゲシュタポによって粛清される。
マックスと恋人のルディは命からがら逃げ出すが、
世の中は同性愛迫害の波が押し寄せており、
逃亡生活を続けていたものの、結局捕らえられてしまう。
収容所への移動中にルディは殺される。
そこで出会ったホルストに「とにかく生き延びろ」と諭されるマックス。
ゲシュタポとの取引にも応じ、
「同性愛者でなければ女とできるだろう」と
少女の遺体と関係を持つことにより、
最下層の同性愛者(三角のピンク印)ではなく、
ユダヤ人(黄色いダビデの星)として収容されることになった。
収容所での仕事は、永延と岩を運び続けるという単純作業。
そこにホルストも呼び寄せ、
2人で単純作業を続けるうちに愛し合うようになるが、
触れることも見つめあうこともできない。

季節は夏から冬、そして春と移り、ホルストの体調が次第に悪くなる。
彼のために薬を調達しようと、
新任の大佐に近づき、セクシャルな関係でもって便宜を図ってもらうが、
それが徒となりホルストは処刑されてしまう。
マックスは悲しみの中、彼が着ていた三角ピンク印のついた服に着替え、
自ら、高圧電流の流れる鉄条網にすがりつくのだった。


http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/e5b21aa450b596bc2d2c1b78a13c4a4f/1279804661

この作品は、ナチスドイツの「同性愛者への迫害」という、
歴史に埋もれてしまった極めて特異なテーマを扱っている。
時代は、ナチス政権下のドイツ。
その時代のドイツでナチスは
ユダヤ人を大量虐殺した事実はよく知られている。
しかし、その過酷な時代にもっと過酷な運命を生きた人間たちがいる。
ユダヤ人がダビデの星、
つまり黄色い星を胸につけることを強要されていた時代に、
胸にピンクの星をつけることを強要された人々がいた。
そしてこれこそが最悪だった。
黄色い星の人々より酷い扱いを受ける人々、
まさに歴史の知られざる事実。
その時代、ピンクの星を胸につけた人々、
つまり強制収容所で虐殺された同性愛者は
25万〜30万人にもおよんだという。
そんな背景の中での純粋な愛のドラマである。

前半はきらびやかなベルリンが描かれ、
退廃的な雰囲気の中で繰り広げられるゲイクラブに
全裸の男たちが入り乱れての酒池肉林の世界。
ここの女装主人・グレダに扮したミック・ジャガーが
天井から吊るされたブランコに乗りながらなめかわしく歌っています。

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/e5b21aa450b596bc2d2c1b78a13c4a4f/1279804721

一転して後半は白い採石場でひたすら岩を運び続ける
マックスとホルストのセリフ劇。
一瞬のすれ違いごとに愛の言葉をかけあうことで、
しだいに愛し合う2人。
しかし監視されているため、触れることもできず、
ましては見つめ合えない状況の中。
3分間の休憩中、2人並んで前を向いて突っ立ったままで、
「俺の口が下がっていって...」とか、
「お前の中に俺のが入るぞ」とか言うわけです。
この過酷な環境がよりお互いの甘い妄想を膨らませていったのでしょうか。
ホルストがみせた際立った表情がとても印象的でした。
しかし、なんともやるせない最期の2人の顛末。
ひたすら岩運び場面の連続でしたから、より一層衝撃的で、悲しい。
いつかはきっと...が台無しになった瞬間、私も彼同様に、
愛した者になるべく近づけて後、見切りをつけるでしょう。


出演はクライヴ・オーエン、ブライアン・ウェバー、イアン・マッケランなど
私が好きな俳優の名前が並びます。
この作品のDVD化を望んでいるのですが、ダメなのかな〜



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The Butterfly Effect 2004

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/e5b21aa450b596bc2d2c1b78a13c4a4f/1279726439

映画「バタフライ・エフェクト」について

幼い頃から度々記憶を失っていた主人公エヴァンは、
治療のために日記をつけ始める。
13歳の頃、幼なじみのケイリーたちと悪戯をして大事故をひき起こす。
その瞬間も彼の記憶は空白。それが元で本人皆無のまま、
エヴァンは引っ越すことになり、
性的虐待傾向のある父と反社会傾向な兄と暮らすケイリーとしばしの別れ....
....時が経ち、大学生となったエヴァンは、
記憶を失うこともなくなっていた。

結局、エヴァンは失われた記憶の中に意識を戻す能力が備わり、
壊れてしまった愛する幼なじみの人生を救うべく、
過去を変えようと奮闘するのだけど、
その先には、その都度、ハッピーエンドには程遠い結果待っている。


http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/e5b21aa450b596bc2d2c1b78a13c4a4f/1279726503

この映画のタイトル「バタフライ・エフェクト」とは、
「蝶のはばたきが地球の裏側では竜巻を引き起こす」という、
わずかな違いが後に大きな結果の差を生む
カオス理論を象徴する言葉だそうで、
昔から、「嗚呼〜、もしもあの時こうしていれば〜」と、
未知の運命に思いをはせまくりの私でしたが、
正にこの物語はその心理にうまく訴える、
巧妙で意外性のあるサスペンスでもう、面白い通り越して、
次元が違うそれぞれの私が全く別ものとか、
なんだかいろいろ考えさせられました。



The Ordinary Man 2005

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/e5b21aa450b596bc2d2c1b78a13c4a4f/1279552637

ヴィンセント・ラノー監督作品「変態男」について

ジョルジュは家具店を営むごく普通の男。
帰宅途中、むしゃくしゃしてた衝動により、あるアベックの車を追いかけ、
キレた彼氏を返り討ちにして殺してしまいます。
しかしカップルの女・クリスティーヌを殺すことも逃がすこともできず、
殴って気絶させてから自分の車のトランクに監禁することに。
「俺は優しいから殺さない。でも、ばれると困るから、
お前は俺の車のトランクで生活しなくてはならない」
そんなことを言っても泣き叫んだりするのは当たり前。
騒がれるとすぐにばれるということで、叫べないよう、薬で眠らせてから、
鼻から細い木の枝を差し込んでいき、声帯を潰す素人手術をします。

ちなみにジョシュは、妻との仲がうまく行っておらず、
なんと、その妻はジョシュの友人で警官のシモンと浮気中。
そんなこんなで、
クリスティーヌはトランク監禁生活を始めることになります。
食事や布団を用意してあげたり、
本を読めるように電気をつけてあげたり、
そして家族が家を出払っている隙にシャワーを浴びせたりと、
世話するジョルジュと彼女の間に生まれる、不思議な関係。
そんなこんなで1ヶ月過ぎて、クリスティーヌの捜索願が出されます。

普通だったらこの異常な事態、
精神的におかしくなって衰弱していくのですが、
いつの間にか、彼やトランク生活に安心感をおぼえるクリスティーヌ。
実は殺された彼氏は完全なDVで、
酷い暴力を日常的に受けてたことがわかります。
声帯を潰され、トランクで監禁されていることを除けば、
ジョシュは暴力を振るうことは無いですし、逆に世話をしてくれるから。

一方、ジョシュは今更ながらも罪悪感を感じ始め、
殺した彼氏がゾンビになって現れる幻覚を目にするようになり、
より狂しくなります。
ある日、トランク監禁生活をすっかり満喫しているクリスティーヌが、
ジョシュの幼い娘に見つかり、「黙ってろ、しゃべったら殺すぞ」と
娘を脅迫するジョシュ。

ここで、唐突にゲイの刑事カップルが捜索するべく登場。
暖炉の前でマッチョな兄貴分と綺麗系の青年刑事がシャンペンをすすり、
全裸で絡み合いながら、事件捜査の話を楽しげに会話します。

そして、冬のめっきりと冷え込んだある夜、
その日、ジョシュはクリスティーヌのことをすっかり忘れてて、
翌朝、思い出したので慌ててトランクを開けると、
クリスティーヌは凍死寸前に。
急いで家に連れて帰って、
妻が居るにも関わらず、熱いお風呂に入れ、助けました。
今までも仲が悪かったし、
今回の件で妻に三行半を突きつけられた格好になり、
どっかに姿を消すことにします。
「警察には言うな」と念を押すことは忘れません。

ある日、家に戻ると、妻が電話をしてた形跡を発見。
実はその妻は、浮気相手のシモンと電話してたんですが、
警察に連絡したと勘違いしたジョシュは、問答無用で妻を撃ち殺します。
なんと、そのままその足で、娘も撃ち殺すことに。
クリスティーヌは連れて逃げます。
その後に、シモンが訪ねてきて死体を発見、ジョシュを追いかけます。
シモンは追いついた後、ジョシュの妻の仇を討とうと、
ジョシュを撃ちます。
肩に当っただけだったので、死にはしませんでした。
そこで何でか、クリスティーヌがジョシュを助けるため、
車に備えつけてあった猟銃でシモンを撃ち殺します。
それから、トランクから荷物を引っ張り出し、
シモンのパトカーのトランクに移し変えて、その中に入ります。
警察が来た時には、シモンに監禁されたクリスティーヌを、
ジョシュが助けようとして重傷を負ったという形になってました。
ゲイの刑事カップルがヨーロッパらしいフランクさで、
これは嫉妬に狂った間男のシモンが次々と凶行しまくったに違いないと断言、
これにて一件落着!ということで、
クリスティーヌ捜索の件とジョシュ家族皆殺しの件を落ち着かせます。
それから、ジョシュとクリスティーヌは仲良くバカンスに出かけます。
移動はもちろん、クリスティーヌはトランクで。

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/e5b21aa450b596bc2d2c1b78a13c4a4f/1279636859

なんとも理不尽、妻はともかく娘を殺しておいて、
このハッピーエンドはどうよっ!
と、かなり納得がいかない、つっこみどころ満載ですが、
ヨーロッパでは有りなのかなと、文化の違いを堪能した作品でした。
とにかく、これって別に普通じゃない?と思わなかった自分で良かったです。
あとこの邦題の「変態男」というタイトル。
これは同じ時期に話題になった映画「変態村」にちなんだのでしょうけど、
明らかに失敗なのでは....
私なら「電波男」とつけるかな。


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