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ポテチの好きな映画についてと感想

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Bully 2001

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/e5b21aa450b596bc2d2c1b78a13c4a4f/1281360706

ラリー・クラーク監督作品「ブリー」について

南フロリダに住む少年ボビーとマーティは幼馴染み。
裕福な家庭に育った切れ者のボビーとは対照的に、
マーティは高校の落ちこぼれだったが、
2人は大の親友同士。
ある日、彼らはアルバイト先のスーパーで2人の女の子、
スレンダーのアリとふっくらした感じのリサをデートに誘う。
マーティとリサはすぐに意気投合し恋仲に。

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/e5b21aa450b596bc2d2c1b78a13c4a4f/1281360763

交際が深まるに従い、リサはマーティとボビーの異常な関係に気づく。
ボビーはマーティを時には暴力を振って一方的に支配していたのだ。
逃げようと思えばいつでも逃げられたのに、10年間いじめられ続けてきた。
ある種、この2人の関係は共依存、体格は遥かにマーティの方が良いのに、
抜け出すことが出来なかったためだ。
しかしこの関係は、マーティーの恋人となったリサの出現で大きく変化する。
恋人をいじめっこから引き離し救うことが彼女の全てになったと同時に
ボビーへの憎しみを募らせていく。
そしてボビーは2人にも暴力的な態度を取るようになり、アリとリサをレイプ。
もう我慢できない!と、リサはマーティにある驚くべき提案を持ちかける。

「ボビー殺害計画」
アリのヤク中のボーイフレンドであるドニーやアリの友人・ヘザー、
リサのマッチョないとこ・デレクらも巻き込み、
計画はどんどん現実味を帯びていく。
ついには不良グループのリーダーで、
マフィアの殺し屋を自称するカーフマンをも引きずり込み、
いよいよ計画実行。

アリがセックス目的でボビーを川まで夜のドライヴに誘い出し、
皆と落ち合う。
全員でバットやナイフでボビーに一方的な攻撃をした後、
最後はマーティがナイフでトドメの一撃を加えた。
しかし殺人を犯した後、
彼らはやったことの重大さを徐々に認識すると同時に、
冷静さを失い、不安を増幅させ、
発覚に脅えた挙句はお互いに罪をなすりつけ合うことに。
結局、警察への匿名通報によって、7人の殺人者は逮捕。
それぞれに重い刑が言い渡されるのだった。


http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/e5b21aa450b596bc2d2c1b78a13c4a4f/1281360798

この映画は、実際に起こった中流階級の未成年たちが起こした
稚拙で残虐な事件を元に、
極悪非道ないじめっこに、いじめられっこが仲間と共に立ち向かった物話。
彼らのやったことを実に恐ろしいと思うのが普通なのでしょうが、
同じシチュエーションでこの愚かな若者達の誰かであった時に
エスカレートして盛り上がっていくノリに対して
冷静に「違う」と言えるだろうか。
何不自由ない暮らしの中で、彼らは満ち足りない毎日を送っていた。
ちょっとした劣等感だったり、複雑な家庭環境だったり、喪失感や孤独だったり。
そんな足りないのを刹那に埋めることしか頭にない年代、
刺激の強いセックスやドラッグに手慣れた彼らである。
要は身体は立派な大人だけど、精神はまだ子供なまま、
もっと更なる欲望を抱かずにいられないはずだ。
彼らは私で、私は彼ら。
何かの後押しと魔が差すタイミングが合えば、誰だって彼らになりうる。
最後の場面、遊びと同じノリで殺人事件を起こした現実を目にした結果の
彼らの行動には「そのことを忘れてはいけない、でないとこうなります」と
とても印象的でリアルに描かれているのは、
きっとこの監督が淡々と彼らを見据えた結果、
同じ様な若者に啓発したかったのかなと、
あとボビーとマーティの関係は、何となくボビーがマーティに対して
友情を超えたホモセクシャル的な感情故の自己憎悪を募らせ、
不幸にもマーティがすれ違った部分で
変に受け入れてしまった結果のような感じをそれぞれ私は思ったのですが、
変に深く捉え過ぎでしょうか。

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Vanilla Sky 2001



キャメロン・クロウ監督作品「バニラ・スカイ」について

ハンサムな独身貴族として人生を謳歌していたデヴィッド。
一度会った女には二度と会わないというポリシーの彼が、
あるパーティーで会ったソフィアという女性に一目ぼれする。
デヴィッドにとってただの遊びだと割り切ってつきあっていたジュリーが
やたら接近してくるので疎ましく感じてくる。
ストーカー女呼ばわりしているとデヴィッドの親友・ブライアンから聞いた
ジュリー酷く傷つき、暴走の果てにデヴィッドを乗せた車ごと
立体交差の橋を突き破り、心中を図る。
なんとか助かったデヴィッドだが、腕と顔はズタズタに。
女性たちから賞賛のまなざしを浴びたかつての顔はもうなく、
代わりにあるのは人目を引く好奇のまなざしを集める崩れた醜い顔。
彼はたちまち自信をなくし、自分の殻に引きこもってしまいます。
外見に対する周囲の目を気にするあまり、
偏屈になっていくデヴィッドはガードを固め、
自分の外見のために自ら心を閉ざしていきました。
そんな自暴自棄の生活を送る彼から次第に周囲の人々が離れていきます。
そしてソフィアにも。
しかしある夜、酔いつぶれて目が覚めてみると自分の顔は手術で治り、
ソフィアとの仲も元通りになっていた。
彼の生活は元通りになるかに思われたが、悪夢を見るようになり、
夢と現実の区別がつかなくなってゆく....

心中の事故後、その当時できる限りの整形手術を受けまくるのですが、
その手術にも限度があり、
ついに彼はかつての顔を取り戻せないことを知ります。
そこで、彼は顔の整形手術ができるようになる未来まで
自分を低温保存する契約を素敵な夢を見させるオプション付きで
LE社という不思議な会社と結びました。
でもその前にもう一度ソフィアに逢っておきたい。
デートに誘うと、デヴィッドの醜い姿にも動じず、
真摯な感じで承諾してくれました。
落合場所のクラブに行くとブライアンも何故かいるではありませんか。
ソフィアとしてはほとんど会ったことのないデヴィッドの誘いだったから、
3人の共通の友人で親友であるブライアンを連れて来ただけのこと。
かつてのデヴィッドなら一度で女性を虜にできたのでしょうが、
今の彼は違います。
つまらなそうに酒を飲み、
ダンスフロアで踊るソフィアを眩しそうに眺めるデヴィッド。
ソフィアの態度を曲解してしまったデヴィッドは
ブライアンに辛くあたりました。
ソフィアとブライアンの仲が深まっているのを感じたデヴィッドは
激しい嫉妬を感じました。
そんな状態で自殺を図り、
この後、LE社に低温保存され、夢に落ちていくのです。
バッドトリップするはずです。



悪夢の中で理想の父親像を体現した精神科医と過去の記憶を語り合うことで、
これまでの女性との付き合いを遊びでしか捉えられない自己中心的な
どうしようもないダメ男であった自分自身の全てを知り
何かを悟ったデヴィッド。
忘れていたLE社との契約も思い出し、
その会社に辿り着いて夢の案内人に会います。
そこで現実ではもう150年も眠っており、
顔は最新技術で持って元に戻っているということ、
そしてデヴィッド自身の資産が底をついて起きる時間であることを知らされます。
このまま、150年後の世界で目を覚まして人生を取り戻せれるのか、
目を覚ました先が自分のベッドの上で、
LE社も低温保存も実は全部夢落ち、
デヴィッドのいるのは現在の世界のままで、
顔も傷ついたままかもしれません。
とにかく夢から醒める決心をしたデヴィッドは新たな現実の未来のため、
ビルの頂上から飛び降ります。



それにしてもデヴィッドは酷い男です。
ジュリーが起こした心中事故はもちろん、
彼女に大きな責任があります。
しかし、事故前のデヴィッドは
ジュリーをまったく思いやる気持ちがありませんでした。
彼を愛していたジュリーを遊びだと割り切ってつきあっていたために、
察したジュリーは酷く傷つきました。
結局ディヴィッドにとってのジュリーは、
父から継いだ会社の社長の地位、金、たぐいまれな容姿、と、
何でも持っていた完璧な自分のステイタスを支える美人の性処理女、
つまり「物」に過ぎなかったのです。
そんな心ない自己中心的な振舞いがジュリーの暴走に繋がっての事故は
正に自業自得でしょう。
なのに、夢のなかに出てくるジュリーは
完全にデヴィッドの幸せを脅かす悪魔のような存在。
ジュリーの像は自分の顔が堕ちていく
トラウマ的な存在に映っているように見えます。
彼にとって、ジュリーは罪悪感の対象ではさらさらなく、
完全な恐怖の存在になってしまっています。
夢から覚める時に人の痛みを感じない一方通行の恋愛しかしてこなかった彼は、
ソフィアの記憶を通じてほろ苦さをもった
「真実の愛」を悟って成長した感じでしたが、
この一番向き合わなくてはいけない彼女とは受容もせずに
結局逃げ切ってしまったので、
目覚めてもその辺は価値観の変わらないダメ男のままのような気がします。
出来ればジュリーを受け入れて和解してほしかったな。

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/e5b21aa450b596bc2d2c1b78a13c4a4f/1281283944

ハンサムで自己中なダメ男の演技がとっても良かったトム・クルーズ。
理想の女性像であるソフィアに扮したペネロペ・クルスがとても可愛いです。
LE社の社員たちがティルダ・スウィントンをはじめとして、
凄い不思議な雰囲気を漂わしていて、
全体的にそれぞれのキャストがとても嵌まっていて
人選が素晴らしいなと思いました。
特にジュリーに扮したキャメロン・ディアスの怖い感じがもう、
素敵過ぎます!
とても難解気味な映画ですけど、私はとても好きです。

Bagdad Café/Out of Rosenheim 1987

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/e5b21aa450b596bc2d2c1b78a13c4a4f/1280850429

パーシー・アドロン監督作品「バグダッド・カフェ」について

西ドイツのミュンヘン郊外の田舎町、
ローゼンハイムから観光旅行にやってきたミュンヒグシュテットナー夫妻は、
ディズニーランドからラスヴェガスの道中で夫婦喧嘩になってしまい、
夫と別れることに。
車を降りたジャスミンは、重いトランクを提げてあてどもなく
モハヴェ砂漠のはずれの国道を歩き出した。

やっとの思いでたどりついた、
さびれたモーテル兼カフェ兼ガソリンスタンド「バグダッド・カフェ」で
部屋を借りようとするジャスミンに、
女主人のブレンダは不機嫌な迷惑そうな表情を隠そうとしない。

いつも昼寝ばかりしているバーテン、自分の赤ん坊の面倒も見ずに
1日中ピアノばかり弾いている息子のサル・ジュニア、
自分勝手なハネッカエリ娘のフィリス、
そしてこのモーテルに居着いた住人達。
トラック野郎相手の女刺青師デビー、
ハリウッドから流れてきたカウボーイ気取りの画家・ルーディ、
そしてヒッチハイカーのエリックと奇妙な人ばかり。

それでなくてもみんなに始終腹を立てているブレンダは、たった今
ノロマな役立たずの亭主・サルを追い出したばかりで、
不機嫌さはもう最高潮だったのだ。
やがてブレンダは、
この薄気味悪い大女のジャスミンを追いだそうと躍起になるが、
サル・ジュニアとフェリスがいつしか失くしていた包容力を求め、
ジャスミンの部屋をしばしば訪ねては仲良さそうにしていたり、
またジャスミンの柔和な人柄と笑顔に魅かれたルーディは、絵のモデルに、と
口説き始めたりで、イライラが増すばかり。

ある日、ブレンダの留守中にジャスミンが善かれと思って
モーテルの事務所を大掃除してしまったものだから
彼女の怒りが爆発することに。
出て行け! と言わんばかりに迫った時にかわした会話をきっかけに
己を省みるのでした。
次第に表情をやわらげてゆくブレンダ。

ある朝、カフェの客相手に手品を披露し始めたジャスミン目当てに、
客が次々と「バグダッド・カフェ」にやって来るようになり、
オアシスさながら賑わい始める。
しかし、すっかりカフェの一員となったジャスミンに、
保安官から、ビザの期限切れと、労働許可証の不所持を理由に、
西ドイツへの帰国を命じられるのだった。
ブレンダを筆頭に落ち込みまくりの「バグダッド・カフェ」メンバー達。

数カ月後、ジャスミンは「バグダッド・カフェ」に戻ってきた。
歓喜で彼女を温かく迎えるブレンダ、
そして「バグダッド・カフェ」メンバー達。
そんなジャスミンに、ルーディはプロポーズする。
そして勿論、ジャスミンはそれを受諾するのだった。

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/e5b21aa450b596bc2d2c1b78a13c4a4f/1280850521

それでなくてもヘロヘロ状態なのに、
新たな人に関わるのは確かに面倒でもあると思う。
冒頭、不安定なアングルで始まる何とも言えない不思議な鮮やかな色合い、
そんな中で繰り広げられるこの2人の物語。

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/e5b21aa450b596bc2d2c1b78a13c4a4f/1280850601

ちょっとしたきっかけで
幸福感が何倍にも膨れ上がって満たしていく過程を、
まざまざとみせられて、
いつの間にか気持ちが暖かくなっている様な、
嗚呼、繋がるっていいものだなぁと独り心地てしまう、
そんな妙な魅力を持つ素敵な作品。
人間関係で嫌なことが遭った時に観ると、
必ず元気になります!....お薦めです。

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