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ポテチの好きな映画についてと感想

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無題

字幕なしで見たので理解度が更に落ちたのですが、この解説のおかげでなるほど!となりました!

Lost Highway 1996

http://file.satyricon.ni-moe.com/lost_highway1.jpg

デビッド・リンチ監督作品「ロスト・ハイウェイ」について

この物語はとても難解、1回観ただけではたぶん良く理解できないと思います。
デビッド・リンチ監督の作品だから〜といってはそれまでですが、
実はとても悲しい物語なのです。
妻を殺して死刑囚となった男が見た妄想の断片とその妻の執念の回想を
組み合わせてより意味深に、よりミステリアスに、
あとお約束みたいな妙男も踏まえて、
暗い道路の疾走場面、逆回しの家の爆発場面、そして空に光る雷光を節目に、
現実と妄想を行き来します。
妄想の中、男は修理工場の若い別の男としても生きてるのですが、
もの凄い不安感の中それを冷静に監視している刑事さんが嘆くほど、
SEX!SEX!SEX!やってばかりで
なんだか、男の性(さが)を感じで切なくなりそして、心温まるのでした。
だから妻の邪念も優しい方に向いていったのでしょうね。
私はこの難解さが「マルホランド・ドライブ」に続いて好きです。
詳しい解釈は「つづきはこちら」をクリックすると読めます。
長文です〜

http://file.satyricon.ni-moe.com/lost-highway2.jpg

この映画のストーリーの中心は、
殺されたレネェの無念が怨霊となって現世に出現し、
怨霊故になすことができる超常現象を利用して、
自分を破滅に追いやった相手に対し、
「人間的な」復讐をするというものである。

映画の構成は、警察官に殴られて気がつくまでが
フレッドの心の世界の出来事、
殴られてから後は現実の出来事で、
後半は時系列的にそのままの順序で起きていると考えてよい。

映画の始まりの時点では、レネェはすでに殺害されて死んでおり、
フレッドは警察に拘置されていて尋問を受けているが、
妻殺害のショックで心因性の記憶喪失状態に。
そのフレッドの心の描写から始まっている。
なお最初に「ディック・ロラントは死んだ」という
不思議なメッセージから始まるが、この解釈は一番最後にしたい。

フレッドの心は、殺した事実を忘れたいという1つの抑圧された状態にある。
ビデオテープに表現されていることがまさに実際に起こった事実であり、
封印されている記憶なのである。
この記憶が抑圧されていることは、
ビデオテープを最後まで見るのに3回も要したことからわかる。
1度目も2度目も、フレッドの事実を認めたくないという心理が、
映像を途中で止めてしまっているのである。
あれはテープがそこまでしか録画されていなかったのではなく、
フレッドが事実を思い出したくなかったことの表現に他ならない。
このことは映像でも明確に表現されている。
二度目のビデオテープを見た後の警官との会話である。
フレッドはビデオカメラを持っていない理由を、
「記憶は常に自分なりに起こったとおりに記憶したくないんです」
と言っている。
つまり裏を返せば、ビデオにこそ事実が記録されているのであり、
この警官との会話を含めた今起きていること自体が、
「歪められた記憶」であると(映画の観客に)言っているのだ。

例えば、警官がやってきてビデオの撮影者について調べ回ったということは、
フレッドが殺人犯として調べられたことを歪曲した記憶であると
とらえることもできる。
事実を思い出したくない。
つまりビデオテープを最後まで見たくないフレッドの心理と、
警官が殺人で取り調べをしたという事実の記憶断片とを結びつけて創作した、
心の中のつじつま合わせである。
1つの鍵は、自宅を調べ回った警官と自分を殴った警官が
同一人物である点にある。
家宅侵入と殺人事件では、やってくる警官が違うのが普通である。

なお、このビデオテープがフレッドの心の中の産物であり、
実在のものでないことは、フレッドが殺人犯として検挙され裁かれた時に、
このビデオテープを撮影した人間に対して
警察や裁判官に一切の言及がないことからもわかる。
これだけの殺人事件であれば、
これを撮影した人物がこの殺人とどう関わっていたか?
ということは、事件を構成する重要な要件になるはずである。

ところで、このプロローグのフレッドの心理的シーンには
もう一つ重要な要素が付け加えられている。
それはレネェのフレッドに対する
愛と無念さの入り交じった複雑な心の表現と、
これからなそうとしている復讐への布石である。

その前にまず、「ミステリーマン」について解釈しておきたい。
ミステリーマンは、フレッドの心の中で
自分が何者であるかを明確に説明している。
結論から言うとミステリーマンは死んだレネェの怨霊である。
それは、レネェの顔が一瞬ミステリーマンになることで
フレッドに(そして映画の観客にも)説明されている。
またアンディのパーティではっきりと自己紹介するシーンがあるが、
その時にフレッドにかけさせている電話もその説明である。
これはフレッドの心の世界から現実の世界へかけさせた電話であり、
レネェの怨霊であるミステリーマンが、
実際は家にいながらフレッドの心の中に登場して、
家にいる自分と通話させているのである。
さらに招かれざる客にはなりたくないという言葉は、
自分は「レネェに」招かれてきた者であるということを言っている。

さて、ミステリーマンであるレネェはフレッドの心の中に入り込んで、
何が「私」に起きたのかをフレッドに思い出させようとする。
この心の世界の出来事の一連のシーケンスは、
すべてレネェが「優しく」リードしていることがわかるであろう。
事実の記憶であるビデオテープを、1度ならずも2度までも
フレッドに見せるよう導いたのはレネェであるが、
決して無理をさせていない。
1度目は「不動産屋かしら」と言って、2度目はレネェ自身が警官を呼び、
フレッドの「心の」創作に話を合わせている。
これらは,急いで記憶を呼び戻さなくていいよというレネェの思いやりであり、
フレッドの心の抑圧に逆らうことなく、心情にも配慮しながら、
ゆっくりと心を解放していくという進め方は、
レネェのフレッドに対する深い愛情の現れに他ならない。
しかし一方では、仕事先から自宅への電話で不在であったことや、
アンディとの関係を再現させたりして、
「私の真実を見てほしい」というレネェのもう一つの意図も随所に感じられる。

これらレネェ(ミステリーマン)の働きかけによって、フレッドはついに、
自らの意志で、記憶の扉を開こうと決心するのである。
それは3度目のビデオの再生がレネェの導きによるものではなく、
自らが覚悟を決めたような表情で見ていることからわかる。
そしてその後殺害現場は白黒のビデオ映像からカラー映像に変わり、
はっきりと殺人を犯したことをフレッドは自覚することになる。と同時に、
レネェの愛情を知り、また彼女の秘密をおぼろげながら認識することによって、
その裏側を知りたいという動機が生まれたのである。
これこそがレネェの怨霊たるミステリーマンが成し遂げたかったことであり、
これから始まるレネェの復讐劇にフレッドが巻き込まれていく
論理的必然性が成立したことになる。
そしてその瞬間に警官の一発でフレッドは目が覚め、
話は現実の世界へと一転する。

http://file.satyricon.ni-moe.com/lost-highway3.jpg

この映画においては超常的現象が起きているが、
それはいくつかの象徴的なシーンとセットで現れている。
つまり、暗い道路の「疾走シーン」、逆回しの家の「爆発シーン」、
そして空に光る「雷光シーン」である。
映画をよく見て確かめてほしい。

次に人物、まずアリスはミステリーマンのもう一つの姿であること。
次にエディ=ディック・ロラントとアンディは、
すでにミステリーマンに心を操られていることである。
彼らはレネェと同じ顔をしたアリスを何の不思議もなく受け入れているし、
エディがミステリーマンと並んでフレッドに電話しているシーンなど、
映画の随所に操られていることを示す部分がある。

さて,フレッドが目を覚ましてから話は大きく展開する。
まず「爆発シーン」、
そしてミステリーマンが登場して、
牢獄にいるフレッドと家の前にたたずむピートを「疾走シーン」が結ぶ。
そしてピートが連れ去られ、獄中でフレッドがピートに変身する。
これが夢想などではなく「映画の中の現実」であることは、
その後警官が執拗にピートを尾行していることからもわかる。
警官は「事実の冷静な観察者」という役割を映画の中で与えられている。
変身相手にピートが選ばれたのは、
彼にはエディの信頼している整備工としての立場があるからである。
あおった車を追い込んでエディが運転手を脅かした一連のシーンは、
いくつかの仕掛けはそこに感じられるものの、
基本的にはこれら重要な人物の紹介場面である。

話は進み,ピートの中にフレッドの人格が次第に出現してくる。
フレッドのサックスの演奏をラジオで聞いたときに感じる不思議な嫌悪感、
鏡で自分の顔を見て違和感を覚え、
その後、自分を確かめるように恋人シーラとセックスにふける等々、
その決定打はアリスへの一目惚れである。
アリスとはセックスまでするが、まだ違和感は消えず、
ピートは再びシーラとセックスをしに走っている。
その時の表情の中にピートの不安感がよく表れている。
このあたりでピートは、自分とフレッドの人格の両方が出現する
二重人格状態になっている。
ミステリーマンはこの状況を巧みに利用し、
ある場面ではピートを刺激し、ある場面ではフレッドを呼び起こして、
復讐を遂げるために、器としてのピートを揺り動かし、
アンディ殺害に至らしめるのだが、
このあたりの映像は、この枠組みでとらえればすべて理解できると思う。

http://file.satyricon.ni-moe.com/lost-highway4.jpg

アンディの殺害後、アリスが「あなたがやった」と言ったのは
ピートに対してである。
その後ピートは頭痛を覚え、人格がフレッドに変わる。
「雷光シーン」を背景に、ミステリーマンの力で、
ロスト・ハイウエイ・ホテル26号室でレネェが
セックスをしている幻影を見せられる。
フレッドは、黒幕がまだ他にいることをはっきりと知る。
階下に降りてきたピートに対してアリスが銃を向けるが、
これは、自分を殺害したフレッドに対して取った恨みの象徴的行為であり、
その後銃を預けたことはそれを許し、
まだ続きがあることを告げた行為でもある。
人格はピートに戻っている。

故買屋へ行くと言って、
アリスは砂漠の中のミステリーマンの小屋へピートを連れて行く。
この時に「疾走シーン」と「爆発シーン」が続くのだが、
これは大きな変化が起きる前兆である。
小屋の前でピートは「なぜ俺を選んだ」とアリスに聞いているが、
アリスは答えず、最高のセックスをピートにプレゼントする。
これはピートに対する感謝の気持ちとすまない気持ちの表れであろう。
しかし最後にはきっぱりと「あなたにはあげない」と言いきり、
ピートから離れ、ピートはフレッドに変身する。
すぐにはフレッドは自分の変身に気づいていない。
フレッドはピートのつもりで「アリスはどこだ?」と
小屋の中でミステリーマンに尋ねるが、
彼は「彼女の名前はレネェだ」と現実に目覚めさせ、
さらに「おまえの名前は何だ」と言って、
ビデオカメラでフレッドを写し、
フレッドの頭の中にその映像を送り込む。

フレッドは逃げるようにしてその場を去っていくが、
そのままロスト・ハイウエイ・ホテルに導かれてしまう。
自分の意志でないことは、
「疾走シーン」でこれらの場所が繋がれていることからわかる。
ホテルでは何度も雷光が光り、絶えずミステリーマンの力が働いている。
エディは「誰か」とセックスをしているが、
目が覚めた後、その相手がレネェであると認識させられている。
復讐の最終場面で、復讐の当事者が誰であるかをエディに知らせなければ、
本懐が達せられないからであろう。
ピートがフレッドに戻ったのもその流れにあるといえよう。
非常に人間的な復讐のお膳立てであるといえる。

最後、ミステリーマンはフレッドに刀を与え、
喉を切らせフレッドを弱らせる。
説明を求めるエディに対して、
ミステリーマンはレネェのポルノ映像を見せ、復讐の意図を教える。
そしてその後ミステリーマン=レネェ自身が銃でとどめを刺す。
ミステリーマンはフレッドに何かを告げて姿を消し、
同時にアンディの家の写真からもアリスの姿が消えた。

http://file.satyricon.ni-moe.com/lost-highway5.jpg

警官はアンディの殺害現場で写真を見、
またピートの指紋だらけである報告を受けて、
アンディ、エディ=ディック・ロラント、レネェ、フレッド、
そしてピートの関係について、
偶然にしてはできすぎていると言いつつも、
何が起きたかを悟ったのである。

最後のインターホンの言葉は最初につながっている。
インターホンは現実と心の世界を繋ぎ、
さらに時間を壁を越えることができる通話機械の役割を果たしており、
過去の記憶喪失の自分に、これから始まることを伝え、
記憶再生の最初の扉をたたかせたのだと思う。

警官は想定される状況から再びフレッド宅を訪れ、
フレッドの姿を認める。
追跡が始まり、フレッドは絶体絶命の状態になるが、
彼に対するレネェの愛情がまた別の新しい人物に変身させるのか、
エピローグは「疾走シーン」で変身しながら映画は幕を下ろすのである。

この映画は「レネェ」という、人生の道を過って、
ふたりの悪人に翻弄されたあげく、
本当に愛した夫に殺害された無念を怨霊になって晴らす映画であり、
その設定は、昔の日本映画によくある「恨み」を晴らす
怪談ものを彷彿とさせている。


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