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ポテチの好きな映画についてと感想

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Kinky Boots 2006



ジュリアン・ジャロルド監督作品「キンキーブーツ」について

チャーリー・プライスはイギリスの田舎町ノーザンプトンの
伝統ある紳士靴メーカー "プライス社" の跡取りだったが、
周囲の重圧に耐えかね、
転勤を機にロンドンに移住することを計画していた。
しかし、ロンドンに到着したその日に父の訃報が届き、
この靴の会社を継ぐことになってしまう。
長年勤めた技術力ある職人たちのおかげで、靴製品の品質は高いものだったが、
儲けより従業員や消費者の満足を重視した先代の経営は、
近年の安い輸入品に太刀打ちできず、
社の財政状況が火の車だということをそこで知ることに。

チャーリーは社の存続のための奔走するも、
クビにした社員のローレンには
「ニッチ市場(市場全体の一部を構成する特定のニーズを持つ
 規模の小さい市場のこと)をもっと開拓しろ」と捨て台詞をはかれ、
婚約者のニックには「そんな工場は売ってしまいなさいよ!」と責められ、
やけ酒を食らった勢いでチンピラに絡まれている女性を助けようとすれば、
逆に彼女に一発で叩きのめされてしまうという散々な有様に。




そんなきっかけで出会ったその女性・ローラはドラァグ・クイーン。
彼女(彼?)が窮屈そうに女物のブーツを履いているのをみたチャーリーは、
誰も作らない、女装する男性用の丈夫なキンキーブーツ
(SM女王様やドラァグ・クイーンが履くヒールの高い派手なブーツ)を
作れば売れるんじゃないか? とひらめき、
そこにローレンの言うニッチ市場を見出すことに。
ローレンを顧問として再雇用し、
"女物の紳士靴" の開発に着手したチャーリーだが、
機能性を重視するあまりにオバサンくさいブーツに仕立ててしまい、
ローラを怒らせる。




そこでローラの意見を取り入れながら、
そして周りからバカにされ、町じゅうから白い目で見られながらも、
もてる技術をこのブーツの開発にチャーリーと靴職人が一丸となって、
"危険でセクシーな女物の紳士靴 (Kinky Boots)"を作り上げていく。
そしてミラノで開催される靴のファッションショーに
打って出る決意をすることに。


イギリスの小さな田舎町の靴の製造工場にて、
ガチガチなお堅い保守的な考えを持つ職人たちの中に
突然舞い込んだ "キンキーブーツ" を作り上げるという試練。
それでなくても社長が亡くなり、
頼りない感じの跡取り息子・チャーリーの発案ということ、
そしてこの中心となるドラァグ・クイーンのローラの登場に、
彼らはかなり幻滅したことと窺えますが、
この2人やる気を理解していくことで、
職人魂を復活させ、偏見や不安が徐々に薄れて、
いつの間にか、その目的に向かってみんなが歩み寄っていく様は、
観ている私も熱くなるほど感動的で、
出来上がった時には、こっちまでハッピーな気分と爽快感があふれまくるという
素晴らしい物語です。



特にローラが抱えるゲイ特有のマイノリティゆえの苦悩の描写がとてもリアルで、
いつもは明るい姐さんな感じなんですけど、
実はぎりぎりのところで常にあえいでいる状態で、
そうとも知らずに目的遂行のためにどんどん先走っていく
チャーリーとの決別は痛いほど良くわかります。
居ると当たり前になってみえないものが、無くなってからわかるということを
彼が痛感することで関わった全ての人たちが完全な一丸となり、
最後華やかに幕がしまるこの展開。
よく考えると、この物語にはそれがいくつも散りばめられていて、
日常での当たり前とされているものがいかに大切であるかを分からせてくれる。
だから観終わった後、感動するとともに、何となく幸福に感じるのは、
この物語に感化された自分の日常に対してなのかなと思ったのでした。


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