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ポテチの好きな映画についてと感想

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Mine vaganti/Loose Cannons 2011

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フェルザン・オズペテク監督作品「あしたのパスタはアルデンテ」について

トンマーゾはローマに住む作家志望の青年。
実家は南イタリアのレッツェにある老舗のパスタ会社にて、
長男(トンマーゾの兄)・アントニオの新社長就任が決まり、
共同経営者一族の晩餐会が開かれることになった。
帰郷したトンマーゾは、
その席上で家族に言えなかった3つの秘密を告白しようと、
その前にアントニオに予告する。
1つ目は経営学部と偽って文学部を卒業したこと。
2つ目は家業を継がずに小説家になること。
そして3つ目の最大の秘密はゲイであること。

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ディナーの席でトンマーゾが告白しようとした矢先、
アントニオが自分はゲイであると先にカミングアウトしてしまう。
トンマーゾは不意打ち食らって唖然とし、家族一同は驚愕、
父は憤怒のあまり、アントニオに勘当を言い渡してそのまま卒倒。
家族は大騒ぎに。
トンマーゾは告白どころか、ローマに戻ることもできず、
倒れた父の代わりに同じく新たに共同経営者となった美しい娘・アルバと
パスタ工場を任される羽目に。

身内にゲイがいるなんて!とひたすら世間体を過剰に気にする父と母。
3人兄弟、2番目の長女(トンマーゾの姉)は自分は自分と
別にあまり気にした風もない。
その夫はより陽気に振る舞って、戸惑いを隠している様子。
父の妹でセックス依存症気味である叔母はそんなことよりも
自分が男を漁るのに夢中。
そして、事前にアントニオを理解し、
彼らを温かくも複雑な想いで見守る祖母。

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そんな個性溢れる家族の楽しくも切ない物語なのですが、
随所に挿入される花嫁衣裳の女性とタキシードの男性の美しい場面。
この女性は若かりし頃の祖母なのですが、
その成り立ちが徐々に明らかになるにつれて、
ゲイの主張云々がこの作品のテーマではなく、
人間は誰しも自分の望む通りの人生を送ることこそが、
それが例え困難な道であったとしても、
1番幸福なのだということを教えてくれます。

トンマーゾと同じく父の代わりで新たに共同経営者となったアルバ。
子供の頃から変わり者で情緒不安定だと言われて、
そんな自分に嫌気がさしながらも、父の敷いたレールを進みつつ、
その枠内において本当の自分を解放しながら生きてきた彼女。
ゲイであることや本当にやりたいことを言えずに偽りの自分をみせながら、
家族のために、父のためにと彼女同様のレールを踏み、奮闘するトンマーゾ。
生き方は対照的だけど、ある意味似た者同士の2人が秘密を明かしあって、
親密になるところはとても救われるのですが、現状は変わらずして、
頑張れば頑張るほど報われない憂鬱な日々。

そんな時、毎日の電話では我慢できなくなった
ローマに住むトンマーゾの恋人・マルコが、
ある週末、イカニモなゲイ友3人を引き連れて、
彼の実家にやってきます。
海で遊ぶ恋人や友人たちとアルバ、それを黙って見つめるだけのトンマーゾ。
周りが自分をどう思うかではなく、
自分がどう生きたいかを実践している彼らの楽しそうなことといったら!
それに比べて自分は.....と、そこで彼らと数日過ごすことで、
トンマーゾはある決心をします。

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友人たちがローマに帰った後、ゲイであることは置いといて、
本当にやりたいことは作家になることで、
このパスタ会社での仕事は出来ないと、
家族に打ち明けます。
全てを把握した上で見守ってきた祖母にとって、
とても嬉しく感じたと共に、
あの孫が自分の思い通りの人生を歩もうと決意したのだからと、
ずっと頑なに本心を隠してきた人生に終止符を打つべく機会!として
ある行動に出ます。
それがとても最たるものなのですが、
思い通りの人生を歩んでいたら
この家族は生まれなかったという罪悪感故になのでしょう。
唯一その事実を知ったトンマーゾにとっては
かなりの衝撃を受けたことでしょうが、
自由に生きることは時として自由に死ぬことと同義ということで、
最期にはそれで満たされたのだから良いのかなと、
意を決して強くなった彼にとっては、
そうプラスに考えることができたのではと。
それを垣間見えるのが、祖母のとても楽しげな葬式の模様で窺えます。

最後はアルバもトンマーゾやマルコという親友ができたからか、
何か吹っ切れてましたし、
両親と兄がこの葬式を機に歩み寄っていましたし、
とても悲しいはずなのですが、
スカッと爽涼感に満ちた素晴らしいハッピーエンドでした。

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さて、この重たくて切ない映画には、
ところどころに笑える面白いエピソードがスパイスの様に散りばめられていて、
私のお気に入りは、
夜に窓を開け放って泥棒の男を招き入れてはヤッちゃう伯母さんとか、
イカニモなゲイ友たちのオネエ言葉を必死に抑える様とか、
トンマーゾが姉に恐る恐るカミングアウトすると、
「知ってたわ。兄弟揃ってだけど別に良いんじゃない?
私もそうかと思ったけど、レズビアンじゃなかったみたい。
きっと男好きの血統なのかもね」とアッサリしてるとか、
イタリア人だからみんな陽気というわけではないのでしょうけど、
そんな抜けてる感がとても素敵でした。

タイトル「あしたのパスタはアルデンテ」の邦題が今イチな気がしますが、
原題の直訳「水面下の爆発」っていうのも何となく分かりますけど、
これはこれでサスペンスみたいでそれも違う様な感じが........

それにしても、キリスト教の国・イタリアで
こんなマイノリティーな主人公の作品って、
犯罪者とか特殊な扱いでない平穏な感じでってのは、
あまりなかったんじゃないでしょうか。
それだけ時代が寛容になった現れなんでしょうね。
同じゲイとして心強く感じます。
そんな私にとって、
いろいろ良い意味で考えさせてくれるこの映画は
かなりハマりました。
人生に思うことがある人にとってはとてもお奨めです。

ゲイ友の1人がトンマーゾの姉の旦那が可愛いとかなり狙ってましたが、
確かに少しゴツくて可愛かったな。
あとアントニオ兄貴、いろんな意味で格好好過ぎです。
と自分の中の腐女子ならぬ "腐男子" がそう申しております。


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