2012/03/18 Category : ラース・V・トリアー Antichrist 2009 ラース・フォン・トリアー監督作品「アンチクライスト」について 愛し合っている最中に、 幼い息子がマンションの窓から転落して亡くなってしまった夫婦。 妻は葬儀の最中に気を失ってから、1ヶ月近くも入院を余儀なくされた。 目が覚めてからも深い悲しみと自責の念から次第に神経を病んでいく妻。 セラピストの夫は自ら妻を治療しようと、 病院を強引に退院させ、自宅に連れ帰った。 催眠療法から、妻の恐怖は彼らが「エデン」と呼んでいる森と判断した夫は、 救いを求めてその森の中にある山小屋に2人で向かった。 夫はそこで心理療法によって妻の恐怖を取り除こうと努力するも、 森での自然の現象は彼らに恐怖を与え、妻の精神状態は更に悪化。 まるで取り憑かれた様に肉欲を求める妻とそれに翻弄される夫。 3人の乞食が集まった時、誰かが死ぬと言う。 そして驚愕の最後、夫は妻を立ち直らせることができるのだろうか。 この映画は章立ての物語になっています。 とても難解なので、整理するべく、 私なりの勝手な解釈で順に追ってみたいと思います。 長文なので、「つづきはこちら」をクリックすると読めます。 つづきはこちら PR
2012/03/18 Category : ハ行 Hanna 2011 ジョー・ライト監督作品「ハンナ」について 北極に近いフィンランド森林地帯の人里離れた電灯もない小屋にて、 父・エリックと2人きりで住む16歳の少女・ハンナ。 父は一般的な情愛の念をハンナに見せず、 サバイバル能力を磨くことに明け暮れる日々。 ハンナは父に教わり、英語、ドイツ語、スペイン語、アラビア語もマスター。 また偽の経歴や住所を、 いつでもすらすらと説明できるように繰り返し仕込まれた。 ある日、「私の用意はできているわ」としきりとせがむハンナに、 エリックは隠していた通信装置を取り出し、 「この装置のスイッチを入れれば、お前は外界に出ていける」と教える。 そしてある日、彼が狩りに出ている間に、 ハンナは決心して装置のスイッチを入れた。 すると、米国CIAエージェントのマリッサ・ウィーグラーが その信号に気づいた。 ハンナが装置を作動させたことを知ったエリックは、 身支度してスーツ姿で小屋を離れると、 間もなく、ヘリコプターでCIAエージェント率いる一個小隊が小屋を襲撃。 2人の兵隊をたちまち片付けたハンナだが、彼らに囚われ、 モロッコの砂漠の真っ只中の基地に拉致されるも、 マリッサの手下たちを殺し、脱出に成功する。 しかし、そこはモロッコの一面の砂漠と荒野の真っただ中だった。 目の前で自分の偽物が殺され、 兵で固めた施設を難なく抜け出せたハンナに対し、 思っていた以上に彼女が脅威であると痛感し、 背筋の凍る思いをするマリッサ。 かつて、マリッサと同じCIAエージェントだったエリックと、ハンナの母、 そしてまだ幼児のハンナは、ある機関から車で逃走中に、 立ちふさがったマリッサの銃弾で車が脱輪炎上、 逃げ遅れたハンナの母がマリッサの3発の弾で殺されたのだった。 死ぬ前に、 「あなたは永遠に、彼女を捕らえられないわ」 と謎の言葉を呟いたハンナの母。 以来、マリッサは繰り返しその言葉を思い出すのだった。 ハンナは逃走の最中、 キャンピングカーで通りかかったアメリカ人一家に遭遇。 その娘・ソフィーと仲良くなり、フランスまで行動を共にすることに。 一方、マリッサは旧知の仲のアイザックスという殺し屋にハンナ捕獲を依頼。 キャンピングカーに乗ったハンナを執拗に追いかけるアイザックスと手下たち。 彼らに気付いたハンナは、いつ襲撃してくるか分からない危険な状態と判断し、 ソフィーに「絶対に私のことを追わないで」と念を押して車を飛び出す。 辛うじてハンナはヘドロの海に飛び込むことでアイザックスの手を逃れるも、 ソフィーの一家はマリッサらの手に落ちてしまう。 そこでマリッサは「ハンナを助けるため」とソフィーの幼い弟を丸め込み、 ハンナがベルリンの "グリムの家” で父と会うことを知ることに。 一方、エリックは一足早くハンナと待ち合わせするベルリンに到着していたが、 待ち伏せていたエージェントたちに追われるも、どうにか彼らを倒し、 ホテルに滞在していたマリッサを急襲する。 しかし、彼女に致命傷を負わせることができないまま、逃走するのだった。 ハンナはついにベルリンに到着し、 荒廃した遊園地内の "グリムの家" を訪れ、 父を知る不思議な長髪の男に会うも、 そこにマリッサとアイザックスたちが襲いかかる。 ハンナは2階のベッド下に隠れ、追っ手が仇のマリッサであり、 彼女がまだ生きていたことを悟る。 更に、彼女の電話での会話によって、 ハンナは自分がエリックの実子ではないのではないかと疑い出すことに。 グリムの家から何とか脱出し、インターネットカフェにて、 遺伝子操作や過去に行われた生体実験、 そしてエリックの素性について調べたハンナ。 するとエリックが自分の本当の母の殺人犯とされていることを知る。 本当の母の住所も知ったハンナはその家を訪れると、 そこに当のエリックが現れた。 ハンナは、彼に「あなたは、私の父じゃないのね? 私は何なの?」と詰め寄り、 彼から真実を聞かされて激しく動揺。 そんな2人が争っているところにまたマリッサ率いる追っ手が現れる。 エリックが追っ手を引きつけ、アイザックスと手下を倒した時、 マリッサが彼を射殺。 そしてハンナとマリッサの対決へ.... この映画の音楽を担当しているのが、 私の大好きなケミカル・ブラザーズでしたので、それだけでも素晴らしいと、 始めは物語自体にはあまり関心がなかったのですが、 観ているといつの間にか引き込まれていました。 とにかく、 可憐なハンナが強過ぎて格闘するアクションが格好好過ぎなのと、 対するマリッサ扮するケイト・ブランシェットの 冷徹なCIAのエージェントぶりが見物です。 あと、エリック・バナが扮したエリックが遠泳した後、 陸に上がったびしょ濡れの姿には、 思わず、あーーーーといってしまいました。 結局、ハンナとエリックは分かり合えないまま離別してしまうし、 最後、ハンナとマリッサの対決の結果は、後味が悪いというか、 とても怖いものでした。 私としては、この娘と父が実の関係でないにしろ、 最後は仲良く人間らしい生活を送ってほしかったなと思ったのですが、 ある意味でみんな死んでしまったのは、 彼らの業故にということでしょうか。
2012/03/12 Category : ハ行 Burlesque 2010 スティーヴン・アンティン監督作品「バーレスク」について 歌手になるという夢を実現する為にアイオワからロサンゼルスに出てきたアリ。 仕事を探してロスの街をさまよう途中、 テスが経営するクラブ "バーレスク" を見つける。 そこは、セクシーなダンサーが毎夜ゴージャスなショーを繰り広げる、 大人のためのエンターテインメント・クラブである。 舞台の華やかさに感激したアリは、ウェイターのジャックに頼み込み、 ウェイトレスとして働くこととなった。 何日かして仕事からアリが住んでいたホテルの部屋に帰ると、 泥棒に荒らされて無惨な状態に。 困り果てた彼女はゲイと勘違いしたジャックを頼って彼の家に居候することに。 しかし、彼は遠距離に婚約者がいるノンケの男だった。 ある日突然、アリにチャンスが巡ってくる。 妊娠したバックダンサーの代役としてアリが舞台に上がることとなり、 更に1番人気だが、 何かと問題を起こしてばかりのニッキに変わって歌うこととなった。 とはいえ、これは口パクのショー。 新人にも満たない田舎娘に立場を取られて怒ったニッキは、 公演中にマイクのジャックを抜いて嫌がらせをするが、 アリは咄嗟にアカペラを披露。 彼女の素晴らしい歌声はマイクに頼らずホールに響き渡り、 その日の公演は大成功を収めた。 その歌声に可能性を見出したテスの提案でアリがメインに据えられ、 次第に彼女の抜群な歌唱力と突出したダンスが人気を博して評判を呼ぶことに。 新聞にも取り上げられ、バーレスクは連日満員の大盛況で賑わった。 アリは婚約者と別れたというジャックと恋仲となり、順風満帆な日々を送る。 しかし、バーレスクは多額の負債を抱えており、存続の危機に瀕していた。 テスは銀行に融資を断られ、 残る方法は不動産業を営む常連客のマーカスに売ることだったが、 この店を何よりも大事に思っている彼女は手放す気になれずにいた。 一方、アリはジャックがまだ婚約者に婚約解消を告げていなかったことを知り、 大喧嘩。 家出して以前からお誘いのあったマーカスの家に行くが、 彼がバーレスクの跡地に高層ビルを立てようとしていることを知った彼女は、 より大きいアカデミックな舞台に立たせようと提案してくるマーカスを振り、 バーレスクへと戻った。 アリは、マーカスに口説かれさた際に、 不動産の薀蓄を聞いたことを思い出すと、 近々完成予定のバーレスクの向かいにある高層マンションのオーナーに テスを連れて会いに行く。 2人はオーナーにバーレスクの土地の「空中権」を売り出した。 空中権がなければマーカスは高層ビルを建てられず、 高所からの絶景を宣伝文句としていたオーナーとしても、 目の前に高層ビルが建てられてはマンションの価値がなくなるため、 オーナーは2人の申し出を喜び高額で空中権を購入。 それで借金を完済し、テスはバーレスクは店をたたむことにならずに済んで落着。 そしてアリはジャックとも復縁し、再びバーレスクで歌を披露するのだった。 同じエンターテインメントのショービジネス界を描いた作品で、 映画「ショーガール」を思い出しますが、 華麗な舞台とは裏腹に人間の欲望がドロドロに塗れまくっていて、 才能を感じてアイドルを目指そうものなら いろいろと汚れる覚悟しないといけないな〜と思わせるものでしたが、 こっちはサッパリ爽快。 何といってもアリ扮するクリスティーナ・アギレラの 存在があって成り立っている映画です。 そしてバーレスクを影ながら支える経営者・テス扮する シェールの存在も忘れてはいけません。 彼女たちの相反したパワーが上手く交ざり合って、 お互いをよりスケールの大きいものに魅せる関係が とてもバランスが良くて素晴らしく、 観ている私としては、素直に安心して楽しみ、そして自分まで頑張ろう! という気にさせてくれる、ここ1番のお薦め物語です。 影ながらといえば、アリの恋人になるジャック扮するキャム・ギガンデットの スマートでホットな好青年ぶりがもうメロメロだし、 舞台衣装兼小道具係のショーン扮するスタンリー・トゥッチの ゲイならではの毒をちらつかせた小気味よい会話術には賞賛に値します。 そういえば彼は、映画「プラダを着た悪魔」でもそんな感じの存在だったような。 こういう役回りって、頑張るヒロインにとって打ってつけなのでしょうか。 あと、その彼と恋仲になったDJのクマ兄貴の存在もかなり気になるところですが、 とにかく! 彼女のパフォーマンスが全てにおいて圧倒的で美しい。 それに尽きます。