2011/03/13 Category : 日本映画 Memories Of Matsuko 2006 中島哲也監督作品「嫌われ松子の一生」について 53才で殺害死体として発見された伯母・川尻松子の アパートを引き払う手続きを頼まれた笙は、 存在すら知らなかった松子の人生をたどることに。 それは、とことんまで失敗と転落を繰り返した、 波乱万丈な生き様だった。 福岡で生まれ、病弱な妹の久美と育った少女時代を経て、 松子は中学の教師となった。 しかし、教え子の龍が起こした窃盗を庇ったことで退職、 その後は実らぬ恋愛を繰り返しながら堕落していく。 ようやく得た新たな仕事は、中州にある特殊浴場のサービス嬢。 一念発起した松子は、努力と研究を重ねて店のトップへのぼりつめる。 しかし、風俗業界の変化の波に追われて、雄琴の店へと移る。 そこで同棲していた男の浮気を知った松子は、逆上して殺害してしまう。 逃亡して上京した松子は理髪店を営む島津と出会い、 彼の優しさに触れて同棲を始める。 ようやく得たささやかな幸福もつかの間、 殺人事件を捜査していた警察に逮捕される松子。 それから8年間の服役生活を支えたのは、 島津へのひたむきな愛だった。 刑期を終えた松子は島津の店へ向かうが、 すでに彼は別の女と家庭を築いていた。 落胆した松子を支えるのは、 刑務所内で同じ囚人仲間だった沢村めぐみとの友情だった。 ストリッパーからAV女優となっためぐみは、 夫を得てたくましく生きていた。 そして松子が、いまではヤクザとなった教え子の龍と再会する。 お互いにすがる相手のいない2人は激しく求めあうが、 その関係も龍の逮捕によって断ち切れた。 ひとりアパートに閉じこもるようになった松子は、 アイドル(光GENJI)の追っかけだけを楽しみに生きる。 無残に肥満化した松子は、公園で不良中学生たちから撲殺されるが、 死体から離れた松子の魂は故郷へと向かって飛翔する。 そんな松子の人生は不幸だけではなかったのだろうと、 甥の笙は安堵した。 これはスゴイ傑作でした。期待以上にかなり圧倒されました。 全編色鮮やかでポップな演出で、テンポが速くて、 スクリーンから溢れる情報量が半端じゃないのに ちゃんと芯の通った分かりやすい悲惨な物語。 主演の中谷美紀も、語り手となる瑛太も画面の中で輝いていました。 彼女の波乱万丈すぎる壮絶な人生を アトラクションの様に楽しんでしまった。 そんな感じです。 とにかく映像が美しく、音楽の使い方がすごく上手い。 人生ってどんな辛い事が起こってたとしても、客観的に見たら、 平坦な人生より、実はとても充実した面白い生涯なんじゃないか? 不幸が題材の映画なのに、 見終わった後は何故か爽快感を感じました。そんな素晴らしい作品です。 昭和の後半って激動の時代からちょっと安定期に入った頃で、 いい波に乗らないと、 逆に取り残される上下が極端な時代だったんじゃないかと 自分も振り返って、改めて思います。 だからこそ、そんな子供時代は デパートの屋上で夢を見ることがまだ簡単に出来た。 でも今の子供はこういう人生はもう歩めないのかもしれない。 この作品の最後、松子を殺した犯人たちがそうだったのには、 なんだかとても意味深な印象を受けました。 PR