2013/02/08 Category : マ行 Millennium: Män som hatar kvinnor 2009 ニールス・アルデン・オプレヴ監督作品 「ミレニアム: ドラゴン・タトゥーの女」について 実業家・ヴェンネルストレムの不正を報道した、 雑誌『ミレニアム』の発行責任者のミカエル・ブルムクヴィスト。 しかし、名誉毀損の有罪判決を下され、 一旦『ミレニアム』から離れることを決める。 それでも彼は、ヴェンネルストレムの違法行為を確信していた。 時を同じくして、大企業グループの前会長・ヘンリック・ヴァンゲルが、 弁護士・フルーデを通じて、ミカエルの身元調査を依頼していた。 調査を担当したのは、背中にドラゴンのタトゥーを入れ、 パンキッシュな小柄な女性、リスベット・サランデル。 彼女の調査から、ミカエルを信用に足る人物だと判断したヘンリックは、 彼にある仕事を依頼する。 それは、36年前に一族が住む島から忽然と姿を消した 孫娘・ハリエットの失踪事件の調査だった。 ヘンリックは36年経った今も尚この事件に頭を悩まされ続け、 一族の誰かがハリエットを殺したのだと信じきっていた。 法外な報酬と、事件の謎を解決すれば、 ヴェンネルストレムを破滅させることもできる証拠を与えるという条件から、 彼はこの如何にも難解そうな依頼を引き受けることに。 調査は予想通り難解を極めるが、 36年の時を経て、ミカエルは新しい手がかりを発見する。 助手が必要となったミカエルに フルーデが紹介したのは、あのリスベットだった。 天才的な映像記録能力とハッキング能力を持つ彼女の協力を得て、 ヴァンゲル家とナチスの繋がり。 ハリエットの日記に暗号化された恐るべき連続猟奇殺人の真相の記録。 失踪した彼女が写った最後の写真。 そして、ハリエット失踪事件の顛末と妨害に遭いながらも 事実が解明されていく。 スウェーデンの傑作ミステリー「ミレニアム」3部作の 映画化第1弾であるこの作品。 スエーデン特有な寒々しさの中でより緊迫した物語の展開が、 もう目が離せなくて、3時間と長い作品であるにもかかわらず、 見入ってしまいました。 惨たらしい事件はとにかく、 頼りになるガッチリ兄貴風の中年記者・ミカエルと 危うさと強さが上手くカオス状態をパンクっぽく表現された リスベットの魅力が凄まじ過ぎます! 私の勝手な偏見で北欧では男女平等社会でそれぞれの "性" の格差はさほどなく、 奔放な印象を持っていたのですが、大間違いでした。 この作品の原題が「女を憎む男たち」である様に、女性への暴力がテーマですが、 それだけに惨たらしい場面が多々出てきます。 苦痛の末、ある女性たちは死に、ある女性は気が狂い、 ある女性は国外逃亡と散々な目に。 しかしこのヒロインであるリスベットは同じ目に遭いながらも 逃げずに独りで踏ん張って、最後には制裁を加えるという、 暴力に暴力では解決出来ないとは分かっていても、 結局、バカな男どもにはお話にならないだろうから仕方がないのかなと 思ってしまいます。 その点、主人公のミカエルやヘンリック前会長は実に対照的です。 さて、この複雑なパンク娘・リスベットを扮したノオミ・ラパスの 神懸かった演技は目から鱗状態。 女を捨ててるけど何か文句ある?って感じのオーラを常に放ちまくってて、 攻撃されたら倍返しする様な(実際、そうする) 近寄りがたい雰囲気をあえて出してきた彼女。 そんなところにミカエルに惚れてしまって、 表には出さずとも戸惑いまくる不器用さがもう、実に可愛いのです。 彼女がなぜその "彼女" なのかは続編で明らかにされるのですが、 この映画が大ヒットしたのは 彼女の存在に置いてないことは断言出来ます。 PR