2010/08/05 Category : リュック・ベッソン Lune Froide 1991 リュック・ベッソン制作 パトリック・ブシテー監督作品「つめたく冷えた月」について チャールズ・ブコウスキーの短編は全て読んでしまった。 女を買ったとか、酔っぱらって倒れたとか、 酒のために日雇いやって妄想に耽ったとか、 好きというとそうでもない、ほとんどがどうしようもない男の日常話。 その中2つを1つにしたお話「つめたく冷えた月」。 モノクロの映像美とは裏腹に、 俗悪な雰囲気の町で昼間に酔いどれた汚い中年男2人組の物語。 デデとシモンはともに40歳になろうとしているのに、 いまだに不良少年のような生活を送っている。 定職にも就かず妹夫婦の家に転がり込み、 ジミ・ヘンのギターとアメリカにいかれている脳天気なデデ。 夜勤の職にこそ就いているが、 昼間はデデとつるんで酔っぱらっている寡黙で内気なシモン。 2人の性格は正反対だが、なぜかうまがあう。 酔っぱらい、女をからかい、ケンカをし、 娼婦と抱き合う馬鹿騒ぎの毎日に、 シモンは小さな不安を覚える。 実は彼らには人に言えない秘密があった.... 彼らにはある夜、病院から若い女の死体を盗み、 交代で死姦をしたという過去があった。 シモンは哀れで美しい死体に恋してしまう。 彼らは月光の輝く海に死体を運び、シモンは彼女を抱えて波間に流す。 一瞬、彼には人魚になった彼女が見えた気がした。 いわれなくとも大人の世界は分かりきっている、切実にね。 しかしだね、ちゃんと家庭を持ったり、 良い老後を過ごすために無理して働いたり、 いずれは離れていく子供を育てるなんてことが、 俺たちの「人生」としてまかり通ってよいものだろうか。 だからといって、こう毎日、酔いどれてる俺たちも俺たちだが、 何か違う気がするんだな、これが。 陽気に振る舞ってる2人の、 そんな喘ぎの様なものが時より聞こえてくるかの様。 拾った美しい女の死体と関係して、1人がそのモノに恋をする。 そして海に捨てる場面は一変して、美しい神聖な雰囲気に変わる。 1人はそのまま俗悪な人生を、 恋をしたもう1人は神聖な世界へと旅立ちそうな、 ......おそらく死ぬのかな、 そんな気に感じる私もある意味同じなのかも。 PR