2010/07/19 Category : ペドロ・アルモドバル All About My Mother/Todo sobre mi madre 1999 ペドロ・アルモドバル監督作品「オール・アバウト・マイ・マザー」について マヌエラは、女手ひとつで息子を育てた。 だがある日、大女優ウマ・ロッホにサインをもらおうと 道路に飛び出した息子が交通事故で死亡。 息子の死を別れた夫に知らせようと マドリードからバルセロナへ来たマヌエラは、 ふとしたことからウマの付き人になる。 同時に、妊娠したシスター・ロサと同居を始める。 ロサは実はマヌエラの元夫の子どもを妊娠していたのだ。 赤ん坊が生まれるが、エイズに感染していたロサはお亡くなりに。 葬式の席で、半分性転換した夫に再会し、息子のことを話すマヌエラ。 ロサの母親が赤ん坊がエイズ感染していることを恐れるので、 新しい息子を守るため彼女は再びマドリードに戻る。 数年後、エイズウイルスを克服した子どもを連れ、 またバルセロナへやってくるマヌエラ。 今度の旅は希望に満ちた旅だった。 名画「イブのすべて」と「欲望という名の電車」 女であることの悲しみを痛ましいほどに描いたこれら作品を、 物語の展開の中に見事に織り込みながら、 女であることの(そして母の)強さと慈しみを 思ってもみなかったような角度から描いた素晴らしい映画です。 この監督が他の作品も含めて、執拗に描き続けるのは、 薬物依存症患者や性倒錯者、不倫に走る者や宗教的異端の徒など、 社会の主流からはずれた人たちの物語。 社会の周縁部に息づくこうした少数派の人々は、それゆえに、 測り知れないほどの特異な孤独感を常に抱いています。 孤独を埋める手立てを強く求めるあまりか、 ノンケな人々には想像もつかない様な、 越えてはならない一線を越えてしまいます。 そんな一線を越える彼らの姿に言い知れぬ所行を ノンケな人たちにとっては「哀しみ」として観ている様ですが、 実際のところ、彼らにとっては自然なことで、 「だから何?」みたいな、それをプライドにしたりしています。 この映画が底なしの寂寥感を与えることに終始せず、 爽快感を与えてくれるのは、 そんな生命としての「強さ」が、 根底から生まれては溢れ出続けていることを 感じさせてくれるからだと思います。 PR Comment0 Comment Comment Form お名前name タイトルtitle メールアドレスmail address URLurl コメントcomment パスワードpassword