2010/07/19 Category : ア行 The Secret Life of Words 2005 イザベル・コイシェ監督作品「あなたになら言える秘密のこと」について イギリスのとある街にある工場で働くハンナは、 働き者ではあるが誰とも口を利かず、孤独な毎日を送っていた。 彼女の過去は誰も知らない。 時々どこかに電話をかけるが、相手が出ても何も話さずに切ってしまう。 全く休まないハンナを見た上司は、彼女に無理にでも休暇を取るように勧め、 ハンナはある港町にやって来る。 しかし休暇など欲しくなかった彼女はとりたててすることもない。 そんな時に入った中華料理屋で、至急看護婦が欲しいと携帯で話す男を見かけ、 ハンナは自分は看護婦だと告げる。 ある油田掘削所で火事が起こり、 重傷を負った男性を看護する人が必要だという。 ハンナはすぐにヘリコプターで採掘所に向かう。 患者のジョゼフは重度の火傷を負っており、 更に火事のせいで一時的に目が見えなくなっていた。 ジョゼフは彼を殺そうとした男を助けて重傷を負ったとハンナは聞かされる。 ハンナは黙々とジョゼフを看護する。 ジョゼフは時には強引に、時には冗談を交えて 何とかハンナ自身のことを聞き出そうとする。 そんなジョゼフや、採掘所で働く心優しいコックのサイモンに、 徐々にハンナは心を開いていく.... ああ、なんとこの監督の登場人物に対して愛情があることか。 特にこの映画については、そう感じずには終えません。 そして、観ている人たちにメッセージを投げかけつつ、 辛い想いをしてきた者達に祝福のハッピーエンド。 良かったの一言に尽き、こちらとしては安堵の眠りにつくのです。 それにしても、ハンナのカウンセラーの言葉でもわかるように、 戦争の傷痕は受けた本人にしか伝えられない。 ナチスの行った虐殺さえも風化してしまうのが現実であり、 人間は悲惨な事実を忘れてしまうものなのです。 当の被害者は生き残ったことさえ恥だと感じるくらい心に傷を負っている。 そんな彼らに話をしてもらうのはとても残酷なのはわかっている。 日本においても(実際、本当に起こった事実なのかは別においといて)、 南京大虐殺の事実や慰安婦問題を消し去ろうとする勢力があるけど、 戦後生まれの人間に歴史を否定されても説得力がない。 かといって、被害者・加害者ともに口を閉ざしてしまっているのだから、 水掛け論になるのも当然なのかもしれない。 それでも、向き合って語り継ぐことの必要性があるのは確かだなということを、 そして今だ世界の至る所で行われてる戦争に対して、 真実の目を持つことを、 ....とても考えさせられてしまうのでした。 PR Comment0 Comment Comment Form お名前name タイトルtitle メールアドレスmail address URLurl コメントcomment パスワードpassword