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ポテチの好きな映画についてと感想

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Luisa 2010

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ゴンサロ・カルサーダ監督作品「ルイーサ」について

アルゼンチンの首都、ブエノスアイレスにて。
遠い昔、夫と娘が事故で亡くなって以来、その悲しみに自ら虜となり、
人生を死んだ様に生きてきた彼女にとって、
毎日のリズムを狂わせる他人との関わりは一切避けてきた60歳のルイーサ。
毎朝決まった時間に起床し、
スキのない服装である霊園の電話受付の仕事場に赴き、
定刻に仕事を終えると、もう1つのある女優の家政婦の仕事をし、家に帰る。
そんな規則正しい毎日を送り、生計を立ててきた彼女。

ある日、唯一の愛する家族であった飼い猫が亡くなった日に
2つの職を同時に失ってしまう。
30年も勤めた霊園から退職金が一切出ず、
貯金もない彼女は、猫の火葬費用を作るために
地下鉄で物乞いを始めることに。
しかし、厳しい世の中、全てが初めての彼女には至難の業であり、
日々の糧にも事欠き、アパートの電気も止められる。
地下鉄で出会ったオラシオという物乞いをする隻脚の男や
住人である彼女を温かく見守っているアパートの管理人・ホセが物申すも、
"私1人で出来ます!" と言わんばかりに、
始めは意地を張って一向に耳を貸さない態度を取ってしまうものの、
こうもドン底までに陥ってしまうと、
もう1人ではやっていけないことを悟る彼女。
少しづつ彼らに心を開き、恥ずかしいと思っていた "人の善意に頼る" ことで、
少しだけ運が上向きになり、再生の兆しが見えてくるのだった。

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それにしても、この映画のヒロイン・ルイーサの
悲惨な目に遭いっぷりは容赦なくて、
でも現実にこういった人たちが増えているだけあって
心苦しくなる....と思いきや、
必死にお金を稼ぐために奮闘する姿が滑稽でとても愛らしいので、
思わず応援したくなって、いつの間にか私も頑張って前向きにいこうと、
逆に励まされているという、不思議な魅力がある物語でした。
彼女を善意で取り巻く人たちもみんな必死に生きているからこそ、
彼女に共感し、分かち合えたのでしょう。
それでもこの厳しい世の中、まだ第一歩を進めただけの彼女にとって
不安は大いにあると思いますが、何となく彼女は大丈夫に感じれるのは、
同じ庶民である私たちにとっても大変嬉しいことだと思います。

なにより、こんな残酷な現実を巧みな演技や演出でコミカルに描いてみせた
この映画の凄さは観ないと分かりません。
何があっても暗くならずに前向きに人生を謳歌しようという
朗らかさを称えたい。
そんなお勧めの映画です。


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Se7en 1995

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デヴィッド・フィンチャー監督作品「セブン」について

鬱陶しい雨の降り続く、ある大都会にて。
退職まであと1週間と迫ったベテラン刑事・サマセットと、
血気盛んな新人刑事・ミルズは、ある死体発見現場に急行した。
死体は信じられないほど肥満の男であり、
彼は食べ物の中に顔を埋めて死んでいた。
死因は食物の大量摂取とその状態で腹部を殴打されたことによる内臓破裂。
状況から、何者かによって手足を拘束され、
銃で脅されながら食事を強制されていたことが判明。
これは殺人事件と断定される。
サマセットは死体の胃の中から発見されたプラスチックの破片から、
現場の冷蔵庫の裏に、犯人が脂で書いたと思われる
「GLUTTONY(暴食)」の文字と、事件の始まりを示唆するメモを発見する。

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次の被害者は剛腕弁護士としてこの街では有名なグールドという男。
彼は高級オフィスビルの自室で血まみれになって殺されていた。
死体はちょうど贅肉の部分を1ポンド分切り落とされており、
状況から犯人は2日かけて、被害者にどこの肉を切るか選ばさせていたと推定。
現場には被害者の血で「GREED(強欲)」の文字が残されており、
サマセットは、犯人が「7つの大罪」をモチーフにして殺人を続けていると判断。
その後の捜査で、壁に指紋で書かれた "HELP ME" の文字が発見され、
その指紋から通称・ヴィクターという前科のある男が浮かび上がる。

警察がヴィクターの部屋に踏み込むと、彼は舌と左手首を切られた上、
1年間ベッドに縛りつけられて廃人となっており、
壁には「SLOTH(怠惰)」の文字が書かれていた。
更に、警察が踏み込んだ日のちょうど1年前から撮られたと思われる
ヴィクターが衰弱していく模様を写した写真が残されており、
犯人は計算した上でわざと警察に彼の部屋を踏み込ませたと判明。

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手がかりを失ったサマセットは知人のFBI関係者と裏取引し、
図書館の貸し出し記録を入手。
すると「7つの大罪」に関する記録から
"ジョン・ドウ" という男を容疑者として割り出す。
サマセットとミルズはジョンのアパートを訪ねるも、
偶然、帰宅してきた彼と鉢合わせする。
ジョンは2人に発砲すると逃走を図り、ミルズは後を追うも、
隠れていたジョンに顔を殴られ、頭に銃口を突きつけられる。
しかし、何故かジョンは撃たずに逃走。

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警察がジョンの部屋の捜査を始めると、
これまでの被害者の写真が発見され、
彼が一連の事件の犯人と断定される。
更に、ヴィクターの自宅を捜査していた時に撮られたミルズの写真も発見され、
ジョンは大胆にも報道カメラマンを装って警察の前に現れていたのが判明。
そこへ、ジョンからの電話がかかり、
彼は警察への賞賛と計画変更を挑戦的に告げる。

ほどなくある娼婦が、4番目「LUST(肉欲)」として殺害される。
続けざまに美人モデルが5番目「PRIDE(高慢)」の死体として発見され、
彼女は自慢の顔面を切り裂かれたことで、警察・病院へ通報することなく、
自らの命を絶っていた。

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「ENVY(嫉妬)」「WRATH(憤怒)」が残る中、
サマセットらが勤める警察署に血塗れのシャツを着たジョンが自首してくる。
ジョンは取り調べを受けるも、彼の経歴や目的は一切不明で、
「自分は偉大なことを成し遂げた」と答える。
彼が自首した際の血の正体、残る殺人が判然としない中で、
ジョンは、ミルズとサマセットの2人を指名し、
彼らに残る死体を教えるという。

ジョンは2人を伴って、ある荒野に連れて行かせる。
3人が待っていると、宅配便がやってきて1つの小さな箱を置いていく。
サマセットが調べると箱の中にはミルズの妻・トレイシーの生首が。
ジョンはミルズに箱の中身を教え、
自分は彼を羨んでトレイシーを殺したと明かした。
逆上したミルズはサマセットの制止で一旦抑えたものの、
彼女のお腹の中には赤ちゃんがいたことを呟き、再び逆上、
ジョンを射殺する。
6番目の「ENVY(嫉妬)」はジョン自身で、
7番目の「WRATH(憤怒)」はミルズのことだった。

ジョンの目論みは成功し、彼の正体も動機も不明のまま事件は終結。
鬱陶しい雨の中、ミルズは逮捕・連行され、
サマセットは絶望感に包まれることに......

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華麗なオープニングで始まり、
重々しい雰囲気ある映像の中で繰り広げられた、
より重々しい物語。
結局、この "名無のジョン" はこれでもって
何をしたかったのかが判らないまま、
理不尽この上ない衝撃的な展開に、ただ呆然とするものの、
どこかしらで憂さが晴れてる部分もあったりして、
この物語を通して己のダークな部分を開示した様な気分が何ともいえない、
とても後味の悪さが抜群なサイコ・サスペンス映画です。

定年間際の刑事・サマセット扮したモーガン・フリーマンと
若い刑事・ミルズ扮するブラッド・ピットの
コンビネーションがとても良かっただけに、
この最悪な事件に当たったのは
本当に運が悪かったとしか良い様がありません。
そしてアンチクライストな犯人に扮した
ケヴィン・スペイシーのダークさはもう、
ヤバいから止めて〜と言いたくなる程、狂気に満ちていて、
不思議な魅力がありました。
こんな感覚、誰しもが陥りそうなだけに、
とても恐ろしいです。


Torch Song Trilogy 1988

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ハーヴェイ・ファイアスタイン原作・主演による映画
「トーチソング・トリロジー」について

ニューヨークのゲイバーで働く女装芸人のアーノルド。
そんな彼の半生を、3つの物語に分けて描いている。

ショーの前に楽屋でメイクをするアーノルドの独白で第一話は幕を開ける。
若くない彼の女装した姿は、お世辞にも美しいとはいえない。
けれど、物語が進行するにしたがって、そんな彼がなぜか
とても愛おしく思えてくる。それはきっと、
周囲から受けるゲイに対しての無理解や偏見に傷つくことはあっても、
決して卑下することなく生きる彼の姿や、ゆきずりの関係の多いゲイの世界で、
いつも「心から相手を愛した」愛情深い彼がとても魅力的だからだと思う。

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第一話は彼とバイセクシャルのエドとの交際が描かれる。
見た目はがっちり兄貴風で優しい気配りを見せるエド。
しかし、アーノルドとの関係を公表したがらないクローゼットなゲイだった。
更に女性の恋人と二股かけていた彼の態度に傷つき、
アーノルドは彼と別れることに。
その後、エドはその女性と結婚する。

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第二話は、アーノルドと年下の恋人アランとの恋物語。
アランを演じたのは、爽やかな雰囲気のマシュー・プロデリック。
田舎から出てきた美青年風のアランがそれまでに付き合った相手たちとは違い、
アーノルドはアランをパートナーとして心から愛し、彼もまたその愛に応える。
しかし、2人が養子を貰ってささやかな家庭を築こうとしたその矢先。
買い物を頼んだは良いものの、なかなか帰ってこない、
なんだか嫌な予感がする。
外が騒がしいので出てみると、
血だらけで救急車に乗せられるアランの姿が。
アランはホモフォビアの暴徒たちに殴り殺されてしまっていたのだ。
深い哀しみに打ちのめされるアーノルド。
呆然と立ち尽くした彼の絶望的な表情といったら、
もう言葉にできないくらい。

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第三話は、アランの死から7年後。
アーノルドはアランと育てるはずだった養子の高校生のデヴィッド、そして
結局、結婚生活が上手くいかないエドが転がり込んでのほぼ3人暮らし。
そこへ訪ねてくるアーノルドの母親。
ユダヤ人にとって、同性愛は特にご法度。
アーノルドの母親も、息子のセクシャリティーについては
昔から受け入れることができず,当惑や非難を隠すことができない。
愛し合う親子でありながらも、
この点に関しては越えられない溝がある2人の、
アランの死を巡る大喧嘩は、作品中もっとも心を打つ場面でしょう。

アランとの関係を祝福してくれない母に、
彼の死の顛末を話すことができず、
1人で哀しみに耐えてきたアーノルド。
一方、アーノルドがアランを、
父親の墓の傍らに葬ったことを冒涜だと怒る母。
2日間にわたる売り言葉に買い言葉の2人の口論は、激するあまり、
お互いに辛辣極まる言葉を発してしまう。
「お前なんか産むんじゃなかった」と言う母親。
「僕は愛と敬意以外は求めない。それを持たない人に用はないわ。
僕を見下げるなら出て行って。たとえ母親でも」と言うアーノルド。

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ゲイであることを恥じずに懸命に胸を張って生きようとするアーノルドと、
そんな息子をありのまま受け入れることができない母親。
息子を愛しながらも、その点だけは目を逸らしたい母に対して、
アーノルドは「子供のすべてを知るのが母よ」と訴える。

結局のところ平行線のまま、
最後までアーノルドを完全には理解してくれなかった母親でしたが、
立ち去る前に、
「アランの死のことを話してくれれば,お前を慰めたのに」と言う母に、
初めてアーノルドは「ママ,彼が恋しいわ」と言う。
それを受けて母親が答えた台詞が忘れられない。

「時が癒してくれるわ。傷が消え去るわけではないのよ。
傷はやがて指輪のように身体の一部になる。
傷があることに慣れてしまう。
忘れるわけではないの....それでいいのよ」

時とともに浄化され、その人の一部となってゆく哀しみの記憶や思い出。
これは大きな哀しみを体験した人、
特に愛する人を亡くした体験をした人にとって、
なんという深い慰めを与える言葉だろう、と感じる。

最後の場面は、母親が去った部屋で、デヴィッドから贈られた曲を聴きながら、
アランの写真と、エドのメガネ、母親の土産のオレンジ、デヴィッドの野球帽を
そっと抱きしめるアーノルド。
それらを胸に抱いて幸せそうに微笑むアーノルドは、
彼ら全員を慈しむとともに、
自分のささやかな人生をも、心から慈しんでいるように思えて、
母との大喧嘩の場面とは違った涙が溢れ流れてくる。
たとえ哀しみや悲劇があったとしても、
たとえ周囲の理解が得られなくても、
真剣に愛し、生きた人の人生は美しく価値があるものだ。
そんなことを教えてもらえる、ほろ苦くあたたかい最高の物語だと思う。
そして何より、ゲイに拘らず、
「人生」の本質に迫る深い台詞の数々に感動する作品、
ため息ものである。


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