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ポテチの好きな映画についてと感想

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Gaspard et Robinson 1990

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/e5b21aa450b596bc2d2c1b78a13c4a4f/1336320273

トニー・ガトリフ監督作品「ガスパール 〜君と過ごした季節」について

南仏、プロヴァンス。
中年男のガスパールとロバンソンは無二の親友同志。
共に失業者の2人は海辺で廃屋を改造した軽食堂を開くのが夢だった。

ある日、ロバンソンは海辺に家族から置き去りにされてしまった
ジャンヌという老女と会い、家に連れてきた。
彼は幼い頃、母親に捨てられた過去があり、
哀れなものを放っておけない性分だった。
一方、妻に捨てられて以来、家族の絆を拒否していたガスパールだったが、
10年連れ添った妻に逃げられ未練タラタラで、
夜になると飲んだくれて思い出のレコードをかけては、
海に向かって妻の名を呼び、目が溶けた様に泣きじゃくる始末。
結局、ロバンソンの哀願に負けて、同居を許すことに。

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/e5b21aa450b596bc2d2c1b78a13c4a4f/1336320338

ガスパールとロバンソンの仕事は、昼は廃屋の修繕に当り、
2人は昔錠前屋ということでどんな扉も空けてしまえる才能を生かして、
夜は泥棒稼業。
お金持ちで幸福に満たされている家に忍び込んでは、
冷蔵庫や食料庫の中身を物色していた。

3人の生活にも慣れていよいよ開店の日も迫った矢先、
ロバンソンが幼い娘を連れた目の不自由な美しい若い女性・ローズに一目ぼれ。
物乞いをする彼女たちへの面倒をみる彼に怒るガスパールだったが、
立ち退きを余儀なくされ、
路頭に迷うローズが心労で倒れているのを見つけて病院に連れ出すことに。
助かったローズが自分に想いを寄せた様子を察知したガスパールは、
ロバンソンのことを想う彼として、
2人の幸福のために海辺を後にするのだった。

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/e5b21aa450b596bc2d2c1b78a13c4a4f/1336320380

冒頭の場面、黒いコートの胸に、
「名前はジャンヌ。文無しです、よろしく」と書いた紙切れを
安全ピンで留めた老婆の姿が、
バックで流れるアコーディオンの音色でより哀愁を漂わせて涙を誘いますが、
たまたま車で通りかかったロバンソンに拾われる場面での彼の表情が
何ともいえない素敵さで、思わず惚れてしまいました。
そんな優しい彼とツンデレ気味で良いやつなガスパールの物語ですが、
土地計画による古い街の建物を次々と壊しまくる中で、
廃屋や古い家具を次々と直してカラフルに色を塗っている彼らの行為は、
そのまま彼らの人生を象徴しているかの様で、とても楽しげな雰囲気。
厳しい社会の中にでも楽しさがこんなにもあるんです! と披露している様で、
観ている私としてはとても勇気づけられます。
だからといって、泥棒はけしからんですけど。

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/e5b21aa450b596bc2d2c1b78a13c4a4f/1336320480

最後、ガスパールはロバンソン筆頭に寄せ集めの家族から独り去っていきますが、
親友のためとはいえ、この家族は自分の場所ではなく、
やはり自分にとっての家族は出て行ってしまった妻のみと感じたのでしょうね。
ロバンソンと老婆、そして若い未亡人と娘の過去に振り返らずして
前向きに進む姿をみて、今だ後ろ向きな彼としては居心地が悪くなったのかも。
それはそれで孤独だけど気ままに生きていく人生も悪くないなと思わせる感じが、
同じ様に感じている私にとって、とても心強くなります。

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/e5b21aa450b596bc2d2c1b78a13c4a4f/1336320409

あと、この老婆・ジャンヌの存在。
彼女は男2人の役に立てばといろいろ手伝うのですが、失敗ばかり。
でも彼女が居ることで、男2人の優しさが増長していく様は、
フェデリコ・フェリーニ監督作品「道」のジェルソミーナを思い出しました。

またしても、邦題が陳腐。
原題の「ガスパールとロバンソン」のままで良いと思うのですが、
いかがでしょうか。
それにしても、なんと心温まる映画なのでしょう。
今の世の中にウンザリしている人にとっては、
絶対おススメな映画です。


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Choke 2008

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/e5b21aa450b596bc2d2c1b78a13c4a4f/1335842644

クラーク・グレッグ監督作品「セックス・クラブ」について

セックス依存症の青年・ヴィクターは、
アメリカの植民地村を再現したテーマパークにて、
エキストラのバイトをして生計を立てている。
共に働く親友・デニーも、またセックス依存症。
彼らは同じセックス中毒に悩む患者たちの集会に参加し、
依存症に振り回される生活から脱出しようと努力するのだが、
回復がみられない。
しかもヴィクターは、ついつい出席者の女性と
隣の部屋でコトに励んでしまう始末。

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/e5b21aa450b596bc2d2c1b78a13c4a4f/1335842744

そんな彼にはアルツハイマーの母・アイダがいて、
精神科病棟に足繁く通ってはせっせと身の回りの世話をしていたが、
記憶のない彼女本人は彼のことを息子ではなく、
弁護士か誰かだと思っている。
回復の兆しを見せない母の高い入院費を稼ぐため、
ヴィクターは「ある演技」をして小遣いを稼いでいた。
レストランで自ら食べ物を喉に詰まらせ、
金を持っていそうな客に助けてもらい、
人助けをした満足感を彼らに与えると共に、
見舞金をたかっていたのだ。

ハチャメチャな生き方を貫き、
幼い頃から自分を振り回してきた母の世話をすることに、
いいかげん疲れ果ててきたヴィクター。

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/e5b21aa450b596bc2d2c1b78a13c4a4f/1335842704
http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/e5b21aa450b596bc2d2c1b78a13c4a4f/1335842772

そんな時、母は息子にどうしても伝えなければならないことがあるという。
それはヴィクターの出生の秘密。
今まで聞かされてきた話が嘘だと知った彼は
なんとか真実を訊きだそうとするも、
母は「弁護士ではなく、息子に直接話さなければ」と言ってきかない。
途方に暮れるヴィクターだったが、
ある日、病院で母の新しい主治医だという
美しい女性・ペイジと出会った時から、事態は思わぬ方向へ.....


この映画は、デヴィッド・フィンチャー監督作品の
「ファイト・クラブ」で有名な原作者、
チャック・パラニュークの小説「チョーク!」を元に作られた作品です。

幼い頃から反社会的な母の偏屈は強い愛情に振り回され、
そんな彼女から逃げずに、
応えることで生きる術を身につけてきた主人公・ヴィクター。
母の影響で社会的なモラルがすっかり崩壊してしまった彼は、
世間のレッテルや周りの人から求められた人を演じる様になり、
同時に詐欺まがいなことも平気でやってのける
"ろくでなし" に成長してしまった。
そして "愛” を得るべくして、
セックスをしては人と繋がった気になるという習性を身につけ、
どんどん自分自身を複雑にしていく一方で、
ある日、ふいに恋をしてセックスが思う様に出来なくなってから、
ようやく自分が何者であるかがわからなくなっていることに気付くことに。

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/e5b21aa450b596bc2d2c1b78a13c4a4f/1335842803
http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/e5b21aa450b596bc2d2c1b78a13c4a4f/1335842829

そこで自分のルーツを探し始めるのですが、
今では認知症となったアイダがヴィクター出生に秘密があることを聞き、
主治医のペイジに協力を得て判明したのが、
とんでもない内容で余計に混乱する彼。
同じセックスにまつわる悩みを持つ親友はいち早く抜け出して、
素敵な彼女が出来たというのに、
なかなか前に進めず、ヘアースタイルがどんどん乱れていく様が
不謹慎にも笑いを誘います。
しかし、死に際の母が真実を語り、
恋したペイジの本当の姿を目の当たりにした時、
今まで自分がその場の言動や外見といった一次的な情報だけで、
相手のパーソナリティを判断してきた目線の枠を広げることにより、
もっと多面的に感じる力を養うことで、
その人の違った良い面が見えて寛容になるのでは....と、
理解した彼は、すっかり混乱から抜け出して前に進んで行くのでした。

そう、見つめる対象は他者に限らない。
自分自身に対する評価や理解が変わっていくことで、
成長することだって当然あると思います。
邦題「セックス・クラブ」からして単にHで下品な映画と思いきや、
このブラックなユーモア溢れるエピソード満載の根底に隠れた
テーマの奥深さといったら、
もう、ビックリ! そしてとても面白くてスカッとします。
行き詰まった人が多いこの時代に対して
何か答えをくれた様な感じ。とはいえ、
実行するはとても難しいことですが、
やらないでどうする? と前に押し出してくれるこの作品。
かなりお勧めな映画です。

それにしても、
このセンスが全くない邦題はなんとか修正出来ないものでしょうか?
馬鹿げてるにも程があります。


The Tempest 2010

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/e5b21aa450b596bc2d2c1b78a13c4a4f/1335713446

ジュリー・テイモア監督作品「テンペスト」について

ナポリ王・アロンゾー、ミラノ大公・アントーニオらを乗せた船が
大嵐に遭い難破。
一行は絶海の孤島に漂着する。
その島には12年前に弟・アントーニオによって、
大公の地位を追われ追放されたプロスペラーと
美しい娘・ミランダが魔法と学問を研究して暮らしていた。
船を襲った嵐は、12年前の復讐をするために、
プロスペラーが手下の妖精・アリエルに命じて用いた魔法の力によるものだった。

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/e5b21aa450b596bc2d2c1b78a13c4a4f/1335713575
http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/e5b21aa450b596bc2d2c1b78a13c4a4f/1335713488

王の一行と離れ離れになったナポリ王子・ファーディナンドは、
プロスペラーの思惑どおりミランダに出会い、2人は一目で恋に落ちる。
プロスペラーに課された試練を勝ち抜いたファーディナンドは
ミランダとの結婚を許される。

一方、更なる出世を目論むアントーニオは王の弟を唆して王殺害を計り、
また、プロスペラーに奴隷として
こき使われてる悪魔と人間のハーフ・キャリバンは、
漂着した2人の王の家来を味方につけ、彼女を殺そうとする。
しかし、いずれの計画もアリエルの力によって未遂に終わる。

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/e5b21aa450b596bc2d2c1b78a13c4a4f/1335713528
http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/e5b21aa450b596bc2d2c1b78a13c4a4f/1335713611

魔法によって錯乱状態となるアロンゾー一行。
しかし、プロスペラーは更なる復讐を思いとどまり、
過去の罪を悔い改めさせ、赦すことを決意することに。
和解する一同。
最後に魔法の力を捨て、アリエルを自由の身にしたプロスペラーは、
自分を殺そうとしたキャリバンにも哀れみを感じ、解き放すことに。


この映画はシェイクスピアの戯曲「テンペスト」を原作としていて、
国を追われた元ミラノ大公が男の魔法使いではなく、
女性となっている以外は忠実に描かれた作品です。
その "忠実さ" が、今の時代の感覚からしたら
ちょっと物足りない展開に感じてしまったのですが、
全体的な映像美、
特に妖精・アリエルの魔法の繰り出し方がとてもファンタジック、
そしてプロスペラー扮するヘレン・ミレンの
圧倒的な存在感がとても素晴らしい。
見せ場は冒頭の、
プロスペラーが嵐を起こして船を転覆させる場面でしょうか。
あと恋人同士になった2人にちょっとした演出を
魔法で夜空に繰り出す場面は、もう目から鱗状態で、
そこだけ何度もリピートしてしまう程でした。

http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/e5b21aa450b596bc2d2c1b78a13c4a4f/1335713641
http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/e5b21aa450b596bc2d2c1b78a13c4a4f/1335713676

何となくゲイチックな演出が垣間みれて、
例えば、ミラノ大公・アントーニオとナポリ王の弟・セバスチャンの関係とか、
妖精・アリエルの中性的な妖艶さとか、
キャリバンがマッチョな肉体をほぼ全裸で晒しているとか、
.....まぁ、私が勝手にそう感じただけかもしれませんが。
でも、ナポリ王子・ファーディナンドはあんなナヨナヨした優男でなく、
もっと凛々しい万人受けするイケメンであって欲しかったな〜と、
思った次第でございます。

そういえば、シェイクスピアの戯曲を映画化した
マイケル・ホフマン監督作品「真夏の夜の夢」も、
妖精の王・オベロンがイケメンマッチョでほぼ全裸で、
妖精・パックはやたら場末なゲイバーを切り盛りしている中年オネエな感じ、
そして妖精の女王・タイターニアに扮したミシェル・ファイファーが
ドラァグ・クィーンにしか見えないといった感じで
実にゲイっぽかったのを思い出しました。


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